筑摩書房

編集者、騒然!

正直なめてました、ウェブ小説。
どうせ同じような作品ばかりで、書籍にするのに向かない……
そう思っていたのに、この本を読んで印象が大きく変わりました。
こんなにも豊かな世界だったなんて!魅力的な作家さんを発掘して、書籍にした時にも売れるよう、
二人三脚で試行錯誤を重ねていく。
その過程の大変さと楽しさが味わえるダイナミックな市場だと痛感しました。

「出版社の人間は、既成のビジネスモデルを使って、誰向けの どんな本を作ってどう売るのかをアレンジする力はあるが、新たなビジネスモデルを作る能力はまるでない」 という指摘には正直ぐうの音も出ない。 本書のケーススタディと分析は従来型の出版ビジネスにとって宝の山だ。 ヒントだらけのウェブ小説の世界にこれまでアンテナを 張ってこなかった自分を張り倒してやりたい。 今後コンテンツを仕事にしていく うえで、必読の書物。

ウェブ小説の衝撃 ——ネット発ヒットコンテンツのしくみ 飯田一史 著

メガヒット、スマッシュヒットを連発するウェブ小説。
なぜ「小説家になろう」「E★エブリスタ」などの投稿サイトから
続々とヒットコンテンツが生まれるのか?
出版・経営の双方に通じた著者が鮮やかに解説!
978-4-480-86440-6 本体1500円+税

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目次

  • はじめに
  • ウェブ/テクノロジーは旧態依然とした業界に何をもたらすか?
  • 第一部
  • 紙の雑誌のオワコン化が文芸の世界にもたらした地殻変動
    1 又吉直樹『火花』のフィーバーとウェブ小説プラットフォームの隆盛は表裏一体である
  • 第二部
  • 概論——ウェブ小説投稿プラットフォームとその書籍化
    2 小説家になろう
    3 E★エブリスタ
  • 第三部
  • なぜウェブ小説プラットフォームは支持されるのか?
    4 なぜウェブ小説投稿プラットフォームには莫大な数の書き手が集まるのか?
    5 スマホファースト時代における顧客行動とそれに対応するウェブ小説メディア
  • 第四部
  • 作品内容の分析
    6 「小説家になろう」流行作品の内容分析
    7 E★エブリスタで隆盛する「デスゲーム/パワーゲーム」の内容分析
  • 第五部
  • 書店と版元とウェブコンテンツと読者との複雑な関係
    8 書店が四六判ソフトカバーの「広義のラノベ」のなかでもウェブ小説書籍化を歓迎した理由
    9 「ラノベでホラー」は鬼門だったのにホラー系フリーゲームのノベライズがうまくいったのはなぜか
  • 第六部
  • オルナタティブ
    10 ボカロ小説の流行と停滞——収束してしまったひとつのウェブ小説ムーブメント
    11 スターツ出版の野いちご/ベリーズカフェ
    12 『ニンジャスレイヤー』——Twitter小説最大にしてほぼ唯一の成功者
    13 pixiv小説と深町なか
    14 comico BOOKSから考えるO2Oと「編集がタッチしない」ことの功罪 196
    15 ARG小説は日本に根付くか?
    16 ウェブ小説先進国・韓国
  • 第七部
  • よくある疑問・誤解・批判に応える
    17 既成出版社が小説投稿プラットフォームをつくれない/うまく運用できないのはなぜか
    18 ある新聞記者との対話——ウェブ小説に死角はないのか?
  • おわりに
    あとがき
    主要参考文献
  • 「効率性の重視」と「中長期的な視野」の両立を