70枚Tシャツと、70とおりの物語

人生はTのかたちをしていた

どんなファッション誌よりもリアルでイカすTシャツカタログ! ――70枚のTシャツと、70とおりの物語

あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか?

あるある!と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい、読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を、都築響一さんの取材で70枚集めました。"リアルTシャツ(写真多数)"に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)カタログであるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション”でもある最強の1冊が出来上がりました!!

70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

  • 発売日:2017/05/27
  • 定価:本体2,000円+税
  • ページ数:288頁
  • 判型:A5変判
  • ISBN:978-4-480-87622-5
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書店員さんの<捨てられないTシャツ>

「SAEKI 10」J書店SA
「SAEKI 10」書店SA
神奈川県民でもないのに大洋ホエールズの頃からベイスターズのファンである。
最近、親会社が変わって色々改革をされたお陰で、すっかり大人気球団になった。
横浜スタジアムのチケットも取りにくいとか。
もう私が応援しなくても…と思うが、やはり贔屓チームとして気にしている。
私が一番熱を入れて応援していたのは、常に最下位を争っていた時代だった。
甲子園での対タイガース戦は混み合っているので行くのはしんどいなあ、
と思っていたところにセ・パ交流戦が始まった。
関西のタイガース以外のセリーグ球団のファンにとってこれは福音であった。
大阪や神戸でバファローズ対ベイスターズ、というカードを見ることができるのである。
ある年、大阪のドーム球場のグッズショップで、「SAEKI 10」と背中に書かれたTシャツを見つけた。
SAEKIとは、佐伯貴弘選手である。
彼はもともと26番の背番号をつけていたのだが、一時期なぜか10番をつけていた。
その時に作られたTシャツを、大阪ドームのショップはぬかりなく仕入れていたわけである。
佐伯選手ファンの私はちょっと「買おうかな?」とサイズを確認した。
サイズは150だった。成人女性は着られないこともないがちょっと太るとなかなか見苦しい、
という微妙なサイズである。できたらキッズに着てほしい。
私は購入を見送ることにした。
しかしサイズ150を着こなせるファンはいなかったらしく、そのTシャツはなんと次の年まで売れ残っていた。
しかも白とグレーの2色あったのである。
私は意を決してグレーを購入することにした。なぜグレーかというと何となく好みである。
私は体重を増やさないようにしながらシーズンを過ごした。
そしてまた次の年、なんと白のSAEKI10はまだ売れ残っていたのである。
これはもう私が買うしかない。来年また売れ残った白のSAEKI10をここで見るのはつらすぎる。
私の手元にはサイズ150のSAEKI10Tシャツが2枚揃った。
選手のTシャツはいろいろあるが、活躍している間は観戦の度に着て行くので、
1シーズンでヨレヨレになったりする。
佐伯選手はその後背番号が26に戻り、何年か後に移籍してしまった。
2枚のSAEKI10のTシャツは、その後あまり着る機会もなく、きれいなままである。
何かあったらいつでも着られるように、体形は維持しようと思っている。
「WE’RE NUMBER ONE‼︎」J書店KT
「WE’RE NUMBER ONE‼︎」J書店KT
義母からもらったもの。
好みでないわけではないけれど、自分ではきっと買わない。
主に部屋着として使用中だが、夫にはめっぽう評判が悪い。

それにしても胸のメッセージが気になる。
家族の一員、仲間として認めたということを伝えているのか? いや、これを着て団結を誓えと言われているのか⁇
考えれば考えるほど捨てられない。
「ARIZONA」SPBS 店長 粕川ゆき
「ARIZONA」SPBS 店長 粕川ゆき
20年以上前に父がアリゾナに行った時に買ってきたTシャツ。
全く着ないのに、かわいい気がして捨てられないまま、ずっと持っている。
タグにはなぜか妹の名前が書かれているが、奪ったのかどうかの記憶はない。
著者近影

都築響一(つづき・きょういち)

1956年東京生まれ。1976年から1986年まで「POPEYE」「BRUTUS」誌で現代美術・建築・デザイン・都市生活などの記事を担当する。1989年から1992年にかけて、1980年代の世界現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アートランダム』を刊行。以来、現代美術・建築・写真・デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集を続けている。1993年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』を刊行。1997年、『 ROADSIDE JAPAN』で第23回木村伊兵衛写真賞を受賞。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続けている。2012年より有料週刊メールマガジン『ROADSIDERS'weekl(http://www.roadsiders.com/)を配信中。

Tシャツのサイズは3L。

『捨てられないTシャツ』刊行記念トークイベント開催予定