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単行本

青のモスクワ

——ウクライナ侵攻下の日々

「息子は三歳になり、娘が生まれた。戦争は終わらなかった」戦時下の生活を、小さな主語で記したエッセイ集。

定価

1,980

円
(10%税込)
ISBN

978-4-480-81703-7

Cコード

0095

整理番号

2026/10/13

判型

四六変判

ページ数

208

頁
解説

内容紹介

「ロシアで過ごした3年5ヵ月の間に、息子は3歳になり、モスクワで娘が生まれた。戦争は終わらなかった」
日常を覆っていく重たい空気を、じっと見据えるために。戦時下の生活を、小さな主語で記したエッセイ集。

「すごい内容でした……。
優しさと、美しさと、生活と、なのにいかんともしがたく戦争であることと、
その感覚がループして胸に迫ります。」
──古賀及子さん推薦

【あとがきより】
……
 ウクライナ侵攻がはじまって以来、ニュースにもSNSにもロシアにかんする言説は溢れています。もちろん、多様な意見が飛び交っていることじたいは健全な状況でしょう。でもわたしは目眩を覚えることがたびたびありました。
 たいていの議論では「ロシア」か「ウクライナ」が主語にされて話が進められていくからです。大統領や政府高官の言動ばかりが取り沙汰され、現地のひとびとが置き去りにされているように感じていました。たしかに、ロシアやウクライナの市井のひとが当事者としてとりあげられることはあります。しかしその場合でも、境遇の過酷さは伝わってきても、ひととなりや感情の機微まで細かく描写されることはほとんどありません。それに、モスクワにはまるで「ロシア人」しかいないかのように思われている発言を目にすることもよくありました。
 わたしはまさに渦中のモスクワにいる。ちょっと外に出れば、今日もだれかと顔を合わせる。それぞれの名前とさまざまな来歴をもったひとたちとのささやかな関わりのなか、小さいけれどひとつの世界をたしかに生きている。それなのに、わたしが暮らしているはずのモスクワは、目に入ってくる言説空間のどこにもない。
 そうしたギャップにいつも、なにがほんとうなのか分からなくなり、じぶんの視野の狭さにおそろしくなっていました。それが息苦しさの一因でもありました。
 しかしそうやって「わたしにはなにも分からないのだから、なにも言うべきではない」と口を噤んで過ごしているうちに、このような状況だからこそ、とるにたらない日常を書き留めることが大切なのではないか、と気づきはじめました。
……

目次

予感
スイカの歌
越冬
イタリア料理店でボルシチを
カモメの飛ぶ空
暗夜に
あか、あお、きいろ
聖母の右頬
ラリーサとミーチャ
ちいさな靴下
こどもが絵筆をにぎるとき
前へ

あとがき

著作者プロフィール

井奥陽子

( いおく・ようこ )

井奥 陽子(いおく・ようこ):兵庫県生まれ。成城大学文芸学芸術学科准教授。東京藝術大学美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。専門は美学・思想史、とくにドイツ啓蒙主義美学。二〇二二年八月から二〇二六年一月まで、モスクワに暮らす。著書に『近代美学入門』(ちくま新書)、『バウムガルテンの美学――図像と認識の修辞学』(慶應義塾大学出版会)がある。

スペシャルコンテンツ

日常を覆っていく重たい空気を、じっと見据えるために。

「すごい内容でした……。 優しさと、美しさと、生活と、なのにいかんともしがたく戦争であることと、 その感覚がループして胸に迫ります。」 ──古賀及子さん推薦

戦争を知らない世代ばかりになった日本人には想像しても分からない。その読者の心を震え上がらせる。 過去の戦争を語る本が少なくなっているなか、現在進行形の戦火を伝えるこの本の貴重さを痛感しました。

安寧の祈りが込められたようなエッセイ集。 分断された個人ではなく、共に生きていく共同体であってほしい。 読み終えた後、そんな気持ちがわきおこり、未来を諦めたくないという深い余韻が残りました。

戦時下のモスクワで見る空への不安と恐れ、空からの落下物によって、すでに取り返しのつかない事態が起きている現実。 それでも、幼な子と眺める夜の月がある。日常と戦争はこんなにもあいまいに、地続きに存在

 

寄せられたコメント

すごい内容でした……。 優しさと、美しさと、生活と、なのにいかんともしがたく戦争であることと、 その感覚がループして胸に迫ります。
──

古賀及子

さん

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