現代の国語

大学入試を見据え、
基礎から発展まで着実に身につく
論理的思考力・表現力・判断力。

現国712/[2単位]/A5判/256ページ

現代の国語

編集委員のことば

日本大学教授 紅野謙介
日本大学 紅野謙介

 いま、私たちが使っている言葉には、目に見えない一定のルールや約束事がある。水や空気のように自然にそこにあるかのように感じている人が多いかもしれないが、実は「現代の国語」といっても偏りや特性があるし、地域や年齢、性別、階層、集団、職種などによってもさまざまな違いがある。

 署名のある言葉と署名のない言葉でも大きな違いがある。そのすべてを把握しきれている人はいない。共通言語があるように思っているだけで、同じ言葉ひとつとっても、自分と相手が同じ意味で使っているとはかぎらない。思春期が家族と自分は同じ言葉を共有していないと自覚することから始まるように、同じ言葉が実は同じではないと気づくことから、言葉の学びは始まる。

 自分の言葉が誰にも通じていないとすれば、それは孤独への目覚めでもある。しかし、言葉の自由な使い手になるには、他者の言葉に耳をすませ、その意味するところを探りながら自分の言葉をくりだしていくしかない。相手はどのような論理を使っているのか、どうすれば相手を説得できるのか。占いの言葉を信じてしまうとき、そこではどのような力が働いているのか。こわばりから解放してくれる言葉をどのように見つければいいのか。言葉を学ぶことは、もう一度、人と人とをつなげる世界への入り口なのである。

本書のポイント

幅広い資質・能力を養い、高校生の知的好奇心を刺激する厳選された文章

大学入試を意識したトピックと筆者によるバラエティ豊かな評論教材

教材の特徴
  1. 10単元25教材と充実のラインナップ。
  2. 教材1本につき大学入試を意識した字数に(2000字~4000字程度)。
  3. 原則として各単元内の教材配列は易→難へ。
  4. 最近注目の著者や話題から、評論読解の基本として知っておきたい著者やテーマまで、バラエティ豊かな教材をセレクト。
  5. 教室や生徒によってさまざまな資質・能力を引き出せる奥の深い教材を厳選。
授業を支える工夫
  1. 学びの見通しを立てるために役立つ「単元の目標」と教材ごとの「視点」を提示。
  2. 教材ごとに学びを深める「課題」と「言語活動」を提示。
  3. 比べ読みの練習に、「参考」の文章を適宜掲載。
  4. 評論読解に必要な知識をコンパクトにまとめたコラムを随時掲載。
  5. 実用的な知識や資質・能力を身につける「実践」をすべての単元の末尾に掲載。

目次

第1章
問うこと、語ること

境目

川上弘美

境界論

サイエンスの視点、アートの視点

齋藤亜矢

芸術論
実践

「質問する力」を育てよう

《参考》一般化のワナ

苫野一徳

第2章
評論文への招待

ことばとは何か

内田 樹

言語論

デジタル社会

黒崎政男

情報論

システムと変異

中屋敷 均

生命論
実践

評論文の一節を引用し、自分の意見を述べよう

評論読解のポイント

第3章
ことばで伝える思いと考え

ことばがつくる女と男

中村桃子

ジェンダー論

身体、この遠きもの

鷲田清一

身体論

贈り物と商品の違い

松村圭一郎

贈与論
実践

メモ・ノートの取り方・活かし方を学ぼう

要約作成のポイント

第4章
情報と推論

わかっていること、いないこと

堀 正岳

環境論

兎が自分でつづって語る生活の話

E・シートン/内山賢次 訳

推論
実践

社会を作ることば ── 情報の整理と活用

グラフ その歴史

第5章
「話し合い」から「議論」へ

誰かの靴を履いてみること

ブレイディみかこ

社会論

〈私〉時代のデモクラシー

宇野重規

デモクラシー論
実践

議論する力を育てよう

【読書案内】この場で重なることばと声

第6章
「根拠」から「主張」へ

魔術化する科学技術

若林幹夫

科学技術論

未来は存在しない

野矢茂樹

論理学

マルジャーナの知恵

岩井克人

経済論
実践

議論の前提を明確化しよう

【読書案内】思考を鍛える

第7章
伝えること、受け止めること

ポスト真実時代のジャーナリズム

国谷裕子

メディア論

会話と対話

長田 弘

コミュニケーション論

記憶する身体

伊藤亜紗

当事者論
実践

インタビューの作法

実践

ビブリオバトルに挑戦しよう

第8章
表現のみがき方

贅沢の条件

山田登世子

時間論

瓦を解かないこと

堀江敏幸

レトリック
実践

生活の中のことば ── 手紙・案内文

実践

宣伝のことば ── ポップ・広告

第9章
主張の論理的な伝え方

来るべき民主主義

國分功一郎

政治論

主体という物語

小坂井敏晶

心理学
実践

意見を文章にまとめてみよう

【読書案内】書くことが「世界」を創る

第10章
複眼的な視点

開かれた文化

岡 真理

文化論

リスクと近代社会

大澤真幸

リスク論

名づけと所有

西谷 修

コロニアリズム論
実践

対比の働きを理解しよう

《参考》過去はどこに行っちゃったの?

野家啓一・永井均

付録 常用漢字表

おすすめの教材

「システムと変異」

中屋敷 均

近年大注目の生物学者による生命論。
「SDGs」が話題の昨今、生命とは何か、多様性にはどのような意味があるのか、基本からきちんと解説した評論。

〈第2章 評論文への招待〉より

「贈り物と商品の違い」

松村圭一郎

バレンタインデーに贈るチョコレートには、なぜラッピングをするのか。
生徒にとって身近な話題を評論の文脈にのせると、ものの見え方はどのように変わるのだろうか。「論じる」ということの驚きを味わえる評論。

〈第3章 ことばで伝える思いと考え〉より

「誰かの靴を履いてみること」

ブレイディみかこ

話題作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が教科書に初掲載。
生き生きと描かれた著者の息子の姿に、生徒たちも共感したり、考えたり、多くを学ぶことができる。

〈第5章 「話し合い」から「議論」へ〉より

内容見本

内容見本1 読みやすさに配慮したユニバーサルデザインフォントを採用しています。linkマークのある教材は、インターネット上に参考資料があります。教科書「凡例」ページのQRコードもしくはURLを開くと、小社ホームページの「参考資料一覧」に遷移し、各種参考資料へのリンクが掲載されています。
  • 読みやすさに配慮したユニバーサルデザインフォントを採用しています。
  • linkマークのある教材は、インターネット上に参考資料があります。教科書「凡例」ページのQRコードもしくはURLを開くと、小社ホームページの「参考資料一覧」に遷移します。
内容見本2 筑摩書房の書籍をもとに高校生に募集して作られたポップや、読者の感想を使って作成した書店用パネルを掲載し、実用的な「実践」となっています。
  • 実際の書籍をもとに高校生に募集して作られたポップや、読者の感想を使って作成した書店用パネルを掲載し、実用的な「実践」となっています。

編集委員

安藤 宏
東京大学
井島正博
東京大学
大橋賢一
北海道教育大学旭川校
紅野謙介
日本大学
五味渕典嗣
早稲田大学
坂口浩一
東京都立小山台高等学校
清水良典
愛知淑徳大学
関口隆一
筑波大学付属駒場中・高等学校
高田祐彦
青山学院大学
橘 直弥
灘中学校・高等学校
千野浩一
筑波大学附属駒場中・高等学校
仲島ひとみ
国際基督教大学高等学校
三上英司
山形大学
吉田 光
東京都立竹早高等学校
吉田幹生
成蹊大学