魔女・怪物・天変地異 ─近代的精神はどこから生まれたか
ヨーロッパ中世末期、怪異現象が爆発的に増殖したのはなぜか。一方で魔女狩り、他方で驚異の部屋が作られる中、近代的思考はいかに誕生したかを探る。図版多数。
ヨーロッパ中世末期。魔女狩りが激烈をきわめる中、各地で怪物、凶兆、天罰等々、怪異現象が大増殖した。前代未聞の規模で押し寄せる「異なるもの」に対して、人々は恐れおののきながらも、その異形に魅せられていく。畏怖と好奇心の交錯するなかから、いかにして近代的精神は立ち現れてくるのか。そこにどのような人間的本性が見えてくるのか―。ヨーロッパ中世怪異を丹念にたどり、近代的思考の誕生を切り出す。
第1章 近世以前の驚異と好奇心(天変地異と奇形の誕生
「前兆としての驚異」説の祖キケロ ほか)
第2章 大航海時代の幕開けと驚異の増殖(世界地図に対するあらたな認識
新種の植物の発見と植物誌の発展 ほか)
第3章 氾濫する宗教改革時代の怪物と驚異(「修道士仔牛」と「教皇驢馬」
カトリックの怪物解釈―宗派論争 ほか)
第4章 「魔女と好奇心」、そして近代的精神の成立(ファウストの実像
ファウスト伝説 ほか)
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