ことばの食卓

武田 百合子 著 , 野中 ユリ

なにげない日常の光景やキャラメル、枇杷など、食べものに関する昔の記憶と思い出を感性豊かな文章で綴ったエッセイ集。
【解説: 種村季弘 】

ことばの食卓
  • シリーズ:ちくま文庫
  • 704円(税込)
  • Cコード:0195
  • 整理番号:た-19-1
  • 刊行日: 1991/08/22
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:176
  • ISBN:4-480-02546-4
  • JANコード:9784480025463

この本の内容

食べものに関する昔の記憶や思い出を感性豊かな文章で綴るエッセイ集。

この本の目次

枇杷
牛乳
続牛乳
キャラメル
お弁当
雛祭りの頃
花の下
怖いこと
誠実亭
夏の終り
京都の秋
後楽園元旦
上野の桜
夢、覚え書

読者の感想

2015.11.11 波風立男

 ゆっくり、じっくり読む。読み終わるのが惜しい。作者の「富士日記」読了前の「もう楽しみが無くなってしまうのか…」を思い出す。日常生活に対する純粋無垢の感覚、それを表現する鋭い言語感覚は他と比べようが無い。「上手」と思わせるようなら未だ未だと教えてくれる文章。
 最初、池波正太郎さんの食べ物のエッセーみたいなのかと思ったら違った。「食卓」が題名にあるが料理というより食物が印象に残る。子供はこんなふうに食を感じ、それを武田さんはこんな言葉で表している。感嘆する。夢の世界に連れて行ってもらう感じ。幸せな夢見ている時はたいていこんな感じだ。内田百けん然りだが、エッセーの醍醐味はここらにあるのだと思わせる。


 『お弁当』まで読んで、これから『雛祭りの頃』。だんだん残り少なくなってきた。「富士日記」はちゃちな分別を蹴飛ばす日記だが、このエッセーはそれを濃縮する味わいがある。一つのことを時間をかけて武田さんが煮詰めるとこんな絶妙な味わいがうまれるのだ。その分、読み終わるのが前よりも惜しくて堪らない。「この夢、覚めませんように」と思って夢を楽しむことがある。読書途中の今、そんな感じ。

2011.7.11 羊我堂

 せわしい時に読んではいけない、ゆったりとした気持ちで読むべき本だな、と思いました。肉や野菜を食べて栄養を摂るように、ことばを読んでこころに栄養を蓄えることが出来る本。そう思ったので、ゆっくり、よく噛んで、味わうように、一語一語いとおしむように読ませていただきました。

 アンチ速読とか言うつもりはないけれど(現に自分も速読することがあるので・・・)、この『ことばの食卓』は速読してしまってはもったいない本だと感じました。ひろく世間には推奨されている技術であるけれど、速読はなんだか早食いしているイメージがあって、消化にわるそう・・・。早食いしてるところを、ばあちゃんに見付かると「そんなもったいない食べ方をするな」と叱られる。・・・『ことばの食卓』は速読なんて似合わない。そんなことをしては、せっかくの栄養が台無しになってしまう。そんな気がする。

 大切にして何度も読み返したいと思っています。宝物がまた一冊増えました。ありがとうございます。

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