内田百(けん)集成18 ─百鬼園俳句帖

内田 百(けん) 「けん」は「もんがまえ」に「月」 著 , 佐藤 聖 編集

百鬼園先生独自の詩眼と俳心の妙味溢れる俳句全作品をはじめ、恩師志田素琴先生や六高一夜会の思い出などを綴った随筆・俳句集。
【解説: 平出隆 】

内田百(けん)集成18 ─百鬼園俳句帖
  • シリーズ:ちくま文庫
  • 定価:本体950円+税
  • Cコード:0192
  • 整理番号:う-12-19
  • 刊行日: 2004/03/10
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:256
  • ISBN:4-480-03898-1
  • JANコード:9784480038982
内田 百(けん) 「けん」は「もんがまえ」に「月」
内田 百(けん) 「けん」は「もんがまえ」に「月」

ウチダ ヒャッケン

1889-1971。岡山市の生まれ。本名は栄造。ペンネームは郷里の百(けん)川にちなむ。旧制六高在学中は俳句に親しむ。東大ドイツ文学科卒。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学等でドイツ語を教える。教師をやめたのち作家活動に入り、特異な幻想をつづった短編集「冥途」「旅順入城式」を発表。飄逸な「百鬼園随筆」によってひろく世に出た。借金術の大家で、鉄道好きとしても知られていた。

この本の内容

表題作品の『百鬼園俳句帖』、「俳句全作品季題別総覧」など俳句全作品をはじめ、六高時代の恩師素琴先生や俳諧一夜会の想い出を綴った随筆、漱石俳句の鑑賞、座談会による「俳句帖漫評会」など、百鬼園先生の詩眼の鋭さと俳心の妙味を余すところなく伝える一冊。

この本の目次

素琴先生
一夜会
海鼠
今朝冬
名月
百鬼園俳談義(口述)
運座
俳句放談
代作
漱石俳句の鑑賞
オセッカイ評釈
百鬼園俳句帖
俳句全作品季題別総覧
百鬼園俳句帖漫評会

読者の感想

2009.6.16 夕螺

(感想)
「百鬼園俳句帖」のほかに百閒の俳句と俳句に関する随筆、対談などが載せられています。

「百鬼園俳句帖」は、文庫のページ数としても40ページほどです。「百鬼園俳句帖」と附録としての「百鬼園俳句帖 拾遺」が収められています。また、「俳句全作品季題別総覧」として百閒の全俳句が収められています。
百閒の俳句は、そうは多くありませんしうまいのかどうかとなると解説によればそうはうまいという評価ではない。しかし独特な世界を持っているようで、随筆にある不思議な世界にも通じるものがあるそうです。僕としては百閒の俳句をどうのと書ける立場にないのですが、滑稽味のある句は少ないようですね。どちらかというススキ野に吹く秋風、寝床に聞こえる木枯らしの音といったようなどこか寂しさのある句だと感じます。
また、
  足の毛の足を擽る夜寒かな
このような体に感じる感覚を詠んだものは好きですねぇ。。。
火事が好きというわけでもないのでしょうが、百閒は火事というと飛んでいく。乗るべき電車も忘れて火事を眺めるというようなことも随筆の中にあったと記憶してます。そうかといえば雷が鳴ると震えあがる(笑)外界からの刺激に敏感なのかもしれませんが、その刺激が心の中に入ると心が勝手に動いていくというようなものが百閒には感じ取れます。その意味で俳句も読むと僕は同じものを捕らえてしまうのかもしれません。
「百鬼園俳句帖」が出版をされますが、その後に「百鬼園俳句帖漫評会」なる会が出版社?主催でおこなわれそれもこの本に収録されています。出席者は、百閒の高校のときの恩師であり俳句の師でもあった志田素琴、同級生だったかな?土居蹄花、あとはどのような方かわからないのですが、大森桐明、内藤吐天。この四人が百閒を呼び出し(笑)「百鬼園俳句帖」の句を評論します。はじめは一句ごとにまな板に乗せられてああでもないこうでもないと評論されるわけですが、百閒は被告として引っ張られたようだと憤慨しながらも会話は楽しくすすみます。しかしラジオで琴の師である方の演奏が始まるからと「上厠して琴聞く癖や秋の風」という句を残して中座してしまう(笑)こんな気心知れた仲間同士の会ですから楽しく読めるものです。もちろん百閒の句を理解するうえには大切な対談だと思います。
俳句に関する随筆が多く収録されていますが、百軒が俳句を始めた頃の話しや、その頃のエピソードも面白いです。また「百鬼園俳句帖」を出版する経過もありますし、漱石の俳句を評した「漱石俳句の鑑賞」の代筆の敬意も面白い。そして師である漱石の句を「漱石俳句の鑑賞」では師への思いがあふれ出るように書かれる。俳句論的な「俳句放談」でも小説など文学をやる文人の俳句批判、芭蕉の句を「可笑しい」と評価するなどは百閒らしいです。でも、なんていうんだろ?俳句論もどこか尻切れトンボのような印象を僕は受けるのですが、それがまた百閒らしさという面白さではないかと感じます。
俳句は楽しい。。。。こんなことを感じ取れる1冊だと思います。俳句を勉強したいという方にはどうかはわかりませんが、俳句の世界の片隅の様子は判るような気がしました。

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