書物の近代 ─メディアの文学史

紅野 謙介

書物にフェティッシュを求める漱石、リアリズムに徹し書物の個性を無化した藤村。モノ―書物に顕現するもう一つの近代文学史。
【解説: 川口晴美 】

書物の近代 ─メディアの文学史
  • シリーズ:ちくま学芸文庫
  • 1,320円(税込)
  • Cコード:0195
  • 整理番号:コ-13-1
  • 刊行日: 1999/12/09
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:336
  • ISBN:978-4-480-08527-6
  • JANコード:9784480085276
紅野 謙介
紅野 謙介

コウノ ケンスケ

1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。麻布高等学校教諭を経て、現在、日本大学文理学部教授、学部長。専攻は日本近代文学。メディア環境や多様な文化の広がりの中で文学を捉える試みを続けている。著書に『国語教育の危機』(ちくま新書)、『書物の近代』(ちくま学芸文庫)、『投機としての文学』(新曜社)、『検閲と文学』(河出ブックス)、『物語岩波百年史(1)「教養」の誕生』(岩波書店)、共編『ちくま小説選』『ちくま小説入門』(筑摩書房)、『日本近代短篇小説選』(岩波文庫)他多数。筑摩書房高等学校用国語教科書編集委員。

この本の内容

書物は言葉を盛る器であり、同時にまたその形態によって思想をあらわしてもいた。造本に心をくだき「大凝りの美本」に固執した夏目漱石、斬新なテクノロジーを駆使して素朴さそのものを書物のうえに演出してみせた島崎藤村、厳しい言論統制の下で書物の生産・流通の仕組みを見つめ、本と人との「生きた関係」を空想した中野重治ら…。出版文化を根幹にすえた近代という時代にあって、書物と人はいかなる変容をとげたのか。活字印刷の始まった明治から戦後にいたる小説の「モノ」としての基盤と、そこに意識的だった作家たちの格闘をたどる、日本近代文学史・文化史への新しい視座。

この本の目次

第1章 小説の始まり、書物ブックの誕生
第2章 意匠のイデオロギー
第3章 書斎の空間、書物の宇宙
第4章 書物のリアリズム
第5章 侵入する肖像写真
第6章 活字の氾濫、メディアの闘争
第7章 書物の知恵の環
第8章 紙の戦争

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