天上大風 ─同時代評セレクション一九八六─一九九八

堀田 善衞 著 , 紅野 謙介 編集

僕らは堀田さんが最後に
残してくれた言葉を胸に、
生きていくしかない

現代日本を代表する文学者が前世紀最後の十二年間を凝視し、自らの人生と言葉をめぐる経験と思索を注ぎ込んだ同時代評より、全七一篇を精選。

天上大風 ─同時代評セレクション一九八六─一九九八
  • シリーズ:ちくま学芸文庫
  • 1,540円(税込)
  • Cコード:0195
  • 整理番号:ホ-3-4
  • 刊行日: 2009/12/09
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:400
  • ISBN:978-4-480-09264-9
  • JANコード:9784480092649
堀田 善衞
堀田 善衞

ホッタ ヨシエ

1918年、富山県高岡市に生まれる。慶応大学文学部フランス文学科 を卒業。1952年、「広場の孤独」その他の作品により芥川賞を受賞。主な作品に『海鳴りの底から』、『若き日の詩人たちの肖像』、『方丈記私記』、『ゴヤ』、『スペイン断章』、『定家明月記私抄』、『ミシェル 城館の人』などがある。50年に及ぶ文業は、『堀田善衞全集・全16巻』(筑摩書房)に集成されている。1998年没。

紅野 謙介
紅野 謙介

コウノ ケンスケ

1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。麻布高等学校教諭を経て、現在、日本大学文理学部教授、学部長。専攻は日本近代文学。メディア環境や多様な文化の広がりの中で文学を捉える試みを続けている。著書に『国語教育の危機』(ちくま新書)、『書物の近代』(ちくま学芸文庫)、『投機としての文学』(新曜社)、『検閲と文学』(河出ブックス)、『物語岩波百年史(1)「教養」の誕生』(岩波書店)、共編『ちくま小説選』『ちくま小説入門』(筑摩書房)、『日本近代短篇小説選』(岩波文庫)他多数。筑摩書房高等学校用国語教科書編集委員。

この本の内容

世界が揺れ動き、時代の枠組みが大きく変わった20世紀末、旺盛な好奇心と透徹した歴史眼をもって書き続けられた同時代評から71篇を精選編集する。パリ、バルセロナ、富山―旅で出会ったものや言葉、自身の記憶や感覚から生まれる、小さな当惑と驚愕。思考はやがて、ヨーロッパの永い歴史の断層への驚嘆や、いにしえの日本の多様な文化的伝統への愛着へ向かってゆく。いまに触発されて過去を発見し、過去によっていまを見出す―自らの人生と言葉をめぐる経験と思索を注ぎ込んだ短くも鋭いエッセイは、20世紀を代表する文学者が遺した、未来へのメッセージでもある。

この本の目次

誰も不思議に思わない(古市(町・村)復旧コンクール
歴史は繰り返さない ほか)
時空の端ッコ(草野心平追悼
ラテン文と漢文 ほか)
未来からの挨拶(私のパリ
ベイルートとダマスカス ほか)
空の空なればこそ(薬屋三態
思想家としてのローマ法王ヨハネ・パウロ二世 ほか)
天上大風(言語教育について
トレド翻訳センターの復活 ほか)

読者の感想

2009.12.12 世界遺産甲子園球場

90年代に堀田さんの50年代、60年代の評論を読んで、未来への視点がぶれずに現代に通じていて予見や示唆が多くあるのに驚いたのですが、それと時を同じくして「ちくま」の連載を読んでいてこれは30年先を予見しているのでは、それは厳しい未来なのでは、と思ったものです。今こうして読み返す機会が与えられるのは、楽しみであると同時に、堀田さんの未来への視線が、鋭く照射されていることに気付くという、ある意味厳しい現実の再認識になるのかもしれません。しかし堀田さんの放つ光は灯台のように人生の道しるべになってくれるものでもあると思います。何年でも読み続ける価値のある本であると思います。
できれば2分冊になったとしても完全版にしてほしかったです。また「ちくま」連載当時の時事情報等が併記されていると、より面白いのでは、と思っております。続編で完全版となることを期待しています。

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