新・ちくま文学の森 3 人情ばなし ─人情ばなし
このよがくもん 幸田文/カブリワラ タゴール/幸福者 モーム/菊 スタインベック/竹の子抄 今東光/沓掛時次郎 長谷川伸 他
- シリーズ:シリーズ・全集
- 1,922円(税込)
- Cコード:0393
- 整理番号:
- 刊行日:
1994/11/15
※発売日は地域・書店によって
前後する場合があります - 判型:四六判
- ページ数:416
- ISBN:4-480-10123-3
- JANコード:9784480101235
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このよがくもん(幸田文)
尋三の春(木山捷平)
シモンのとうちゃん(モーパッサン)
カブリワラ(タゴール)
多忙な仲買人のロマンス(O・ヘンリー)
うみがに(マナット・チャンヨン)
幸福者(モーム)
菊(スタインベック)
文七元結(三遊亭円生)
ごりがん(上司小剣)
竹の子抄(今東光)
ブルーフィルム(グレアム・グリーン)
沓掛時次郎(長谷川伸)
落穂拾い(小山清)
青梅雨(永井龍男)
イングマルソン一族(ラーゲルレーヴ)
2009.10.06 義翁
鼻の奥がツンとする。木山捷平『尋三の春』のおわりのところ、先生が下手な歌を懸命に唄うところで、どういうわけだか、ツンとする。
ハッとする。タゴール『カブリワラ』の、貧しい商人が見せてくれた大切な大切なたった一枚の紙切れに、心を打たれ、ハッとする。
顔がほころぶ。小山清『落穂拾い』で、人と人との交流について、なんだかふんわりと滲み出て来るものを感じ、その心地よいぬくもりに、なごみ、ほっとして、顔がほころぶ。
ふと溜息をもらす。永井龍男『青梅雨』で、支え合いつつ温かく暮らしてきた人たちの、最期だけれども、しかし見事なまでに豊かな会話に、我にもあらず、ふと溜息をもらす。
丁寧に書かれた巧みな物語というものは、その内側に或るちからを蔵している。たとえそれが、つくりばなしだと承知でいても、読めばその世界にのめり込み、一喜一憂してしまう。あぁ、これこそ物語のちからのなせるワザなのだなぁ、とつくづく思い知らされる。感嘆のほかはない。これは、そんな作家たちの丹念な仕事の成果、珠玉の物語が一堂に会した一冊。じっくり読んで浸りきり、やさしいきもちになれたのでした。
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