新・ちくま文学の森 6 いのちのかたち ─いのちのかたち
風変りなロマンス テネシー・ウィリアムズ/山椒魚 コルタサル/火の魚 室生犀星/凍ばれる 吉野せい/そうかもしれない 耕治人 他
- シリーズ:シリーズ・全集
- 1,922円(税込)
- Cコード:0393
- 整理番号:
- 刊行日:
1995/02/23
※発売日は地域・書店によって
前後する場合があります - 判型:四六判
- ページ数:416
- ISBN:4-480-10126-8
- JANコード:9784480101266
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雪の夜、森のそばに足をとめて(フロスト)
菊の花(中野重治)
ジガ蜂(島木健作)
線路(広津和郎)
風変りなロマンス(テネシー・・ウィリアムズ)
山椒魚(コルタサル)
火の魚(室生犀星)
川(岡本かの子)
鬼子母神(平林たい子)
晩菊(林芙美子)
好日(天野忠)
凍ばれる(吉野せい)
生命の尊厳について(富士正晴)
そうかもしれない(耕治人)
朝霧(永井龍男)
父親(ビョルンソン)
水浴(コストラーニ)
蝿(マンスフィールド)
清潔な明るい場所(ヘミングウェイ)
老人の死(フィリップ)
ヴィンセント・ファン・ゴッホ(C・アヴリーヌ)
不思議なサーカス(高見順)
終わりの火(檀一雄)
終焉(幸田文)
私々小説(藤枝静男)
2009.9.12 義翁
収録作を一篇また一篇と読むたびに、その作家たちから、宿題を、スッと手渡されてしまったような、そんな気持ちになりました。
それは、「いのち」について、の宿題。
これはとてもムツカシイ問題で、ちゃんとした答えが用意されているのかどうかも判らない、もしかしたら答えなんて無いのかもしれない、とても奥深いもの。生半可ではない宿題。
・・・そのかわり、この宿題には提出期限が無い。
かといって、なまけて解こうとせずにほったらかしておくわけにもいかない。それはやがて自分にはねかえってくる。
作家たちは、真っ向からいのちと対峙し、そのかたちを見極め、あらゆる言葉で書き留めようとする。・・・「でも、これでは、まだ書き足らない」そう思っている作家の顔が見えるような気がする。「・・・いのちを書き尽くすには、もっと、言葉を巧みに駆使しなければ。いのちはこんなもんじゃない。まだ書き足らない。まだまだ。もっともっと。書かなければ、書かなければ、書きたい書きたい、書かずには居られない・・・」(このあたりは勝手な想像にすぎないのだけれど、こんなふうな事を思うからこそ、作家は次の作品が書けるのだ、と私はひそかに思っているのです)こんな作家たちの姿勢と膂力とが読む者に感動を与え、同時に、いのちについての宿題を(その書き足らなかった分を託すかのごとくに)提示し、課す。
この本はそんなタイヘンな一冊。でも、読めば必ず自分の心の哲学を一歩前へ進められる重要な一冊。そんな感を抱いて読み終わり、そっと本を閉じました。
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