宮沢賢治生誕120年記念出版

宮沢賢治コレクション〈全10巻〉

天沢退二郎・入沢康夫 監修/栗原敦・杉浦静 編

本コレクションの特色

童話・少年小説・短篇等〈散文〉が106作品、詩が500編以上、さらに戯曲・論考まで、独立した作品の最終形をほぼ全て網羅する作品集
文語詩・短歌以外は「常用漢字体・現代仮名遣い」を使用し、ルビ等読みやすさに配慮した構成
第1巻〜第5巻は、童話作品を中心に、劇・短篇その他を収録
第6巻〜第10巻は、詩集『春と修羅』を中心に、口語詩・文語詩・短歌等も収録
各巻の巻末には編者書下ろしによる「本文について」を付す。『新校本 宮澤賢治全集』を基にしたテキストの決定の経緯等を記載
巻末に著名作家によるエッセイ「賢治を愉しむために」を収録

造本・体裁

四六判・上製・カバー装/平均352頁/組み方13Q43字詰×18行/スピン付き
装丁:アルビレオ/装画:千海博美
各巻定価 本体2,500円+税/全巻セット定価 本体25,000円+税

造本・体裁

ゆるぎない世界軸 池澤夏樹
 自然は無限に階層化されている。生物は細胞からもっと先へと拡大していってもまだ構造がある。プラスチック製品ではそういうことはない。
 宮沢賢治という人が書いたものも同じという気がする。「心象のはいいろはがねから/あけびのつるは雲にからまり……」で始まる「春と修羅」の詩行すべては限りない解析に耐える。それ以前、世界は春であるのに自分は修羅だというこの対称の構図があまりに重くて、なかなか人には担いきれない。
 信仰と科学。この二つがあるから、たとえば3・11の後で、賢治さんならばこの事態に対して何を言い何をしたかとまず考えるのだ。彼はゆるぎない世界軸であり参照の基準点である。たぶん彼は冷夏の時と同じように被災地を「おろおろ歩き」、また地震について津波について地学的な思索をしただろう。
 この人と話したいと思う。それがかなわない以上、ぼくたちは彼が書いたものを読むしかない。
時代が賢治を必要とする 夢枕獏
 日本という国土が生んだ人間で、世界に向けて誇りたい人物を二人あげよと言われたら、ぼくは迷うことなく空海と宮沢賢治を推薦したい。何故か。ふたりは生きた時代も違うし、生まれた場所も違う。しかし、このふたりには共通している(とぼくが思っている)ことがある。
 それは、いつの時代であろうが、どの場所に生まれようが、このふたりは必ずや空海となり、宮沢賢治となったであろうということである。空海は花巻に生まれても空海となったことであろうし、賢治は讃岐に生まれても、間違いなく宮沢賢治となったであろう。
 賢治に触れておけば、いつも時代の節目節目にたちあらわれて、たとえばこのような全集も発売されたりする。それは、時代が賢治を必要とするからだ。賢治の『春と修羅』の詩句は、ほとんど天鼓の響きとなって、ぼくの心に届いてくる。宮沢賢治という存在が日本という国に生まれた奇跡を、感謝したい。

造本・体裁

ゆるぎない世界軸 池澤夏樹
  かがやく宇宙の微塵となって二十世紀の近代日本を足早に駆け抜けた宮沢賢治は、多彩で、激しく、濃密な生涯の全活動を通じて、永遠のいのちのかがやきを示し続けました。
 この存在を前にして、宮沢賢治研究に金字塔をうち立てたと評された『校本 宮澤賢治全集』、およびその成果を引き継いだ研究・調査に基づいて増補・修訂を加えた『新校本 宮澤賢治全集』は、作品本文の決定・校訂経緯の全てを開示し、断簡零墨に至るまでの関係資料、周辺資料等を収録して、賢治研究の根本的基盤となる全集となっています。
 このたび、宮沢賢治生誕120年を期して、『校本 宮澤賢治全集』『新校本 宮澤賢治全集』とその間に刊行された『新修 宮沢賢治全集』における本文校訂を踏まえつつ、現代の読者が宮沢賢治作品の全貌に親しく触れて頂けるように、『宮沢賢治コレクション』全10巻を、新たに編集いたしました。
 本文は、方言的なもの、宮沢賢治独特な表記等に留意しつつも、文語詩と短歌作品をのぞき、現代仮名遣い、常用漢字体を標準とし、難読と思われる文字には適宜ルビを加え、改行なども補い、若い読者からすべての読書好きの皆様にご愛読頂けますよう整えました。
 習作期作品の主なものをはじめ、生前発表作品はもちろん、未発表作品も未完のものを除いてその最終形を、さらに、特色ある重要な先駆形をも収録し、ジャンルとしても、童話・少年小説・短篇等の〈散文〉、口語詩・文語詩・短歌等の 〈詩〉、戯曲、論考(農民芸術概論)におよび、宮沢賢治の「作品全集」と呼びうるものになっています。

全巻内容

1

銀河鉄道の夜 ―童話Ⅰ・少年小説ほか

ポラーノの広場/銀河鉄道の夜/風の又三郎/グスコーブドリの伝記 (少年小説)
ひのきとひなげし/セロ弾きのゴーシュ/北守将軍と三人兄弟の医者(童話)
〔銀河鉄道の夜 初期形第三次稿〕
農民芸術概論

ISBN: 978-4-480-70621-8 本体 2500円+税

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2

注文の多い料理店 ——童話Ⅱ・劇ほか『注文の多い料理店』

『注文の多い料理店』初版本序・目次/どんぐりと山猫/狼森と笊森、盗森/注文の多い料理店/烏の北斗七星/水仙月の四日/山男の四月/かしわばやしの夜/月夜のでんしんばしら/鹿踊りのはじまり/雪渡り(手入形)/やまなし/氷河鼠の毛皮/シグナルとシグナレス/オツベルと象/ざしき童子のはなし/寓話 猫の事務所/朝に就ての童話的構図(童話)
花壇工作/大礼服の例外的効果/家長制度/泉ある家/十六日/竜と詩人/疑獄元凶(短篇梗概)
手紙一~四
飢餓陣営/ポランの広場/植物医師/種山ヶ原の夜(劇)

ISBN: 978-4-480-70622-5 本体 2500円+税

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3

よだかの星 ―童話Ⅲ・初期短篇

蜘蛛となめくじと狸/双子の星/貝の火/いちょうの実/よだかの星/さるのこしかけ/めくらぶどうと虹/気のいい火山弾/「ツェ」ねずみ/鳥箱先生とフゥねずみ/クンねずみ/十力の金剛石/若い木霊/カイロ団長/とっこべとら子/よく利く薬とえらい薬/十月の末/ひかりの素足/ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記(童話)
「旅人のはなし」から/復活の前/秋田街道/柳沢/花椰菜/電車/図書館幻想(初期短篇)

ISBN: 978-4-480-70623-2 本体2500円+税

4

雁の童子 ―童話Ⅳ

風野又三郎/谷/二人の役人/鳥をとるやなぎ/化物丁場/茨海小学校/二十六夜/革トランク/おきなぐさ/黄いろのトマト/チュウリップの幻術/ビジテリアン大祭/土神ときつね/林の底/マグノリアの木/インドラの網/雁の童子/学者アラムハラドの見た着物/ガドルフの百合/葡萄水

5

なめとこ山の熊 ―童話Ⅴ

楢の木大学士の野宿/台川/イーハトーボ農学校の春/イギリス海岸/耕耘部の時計/タネリはたしかにいちにち嚙んでいたようだった/黒ぶどう/車/氷と後光(習作)/四又の百合/虔十公園林/祭の晩/紫紺染について/毒もみのすきな署長さん/税務署長の冒険/或る農学生の日誌/なめとこ山の熊/寓話 洞熊学校を卒業した三人/畑のへり/月夜のけだもの/マリヴロンと少女/蛙のゴム靴/まなづるとダアリヤ/フランドン農学校の豚

6

春と修羅 ―詩Ⅰ

『春と修羅』/『春と修羅』補遺/短唱「冬のスケッチ」

7

春と修羅第二集 ―詩Ⅱ

『春と修羅』第二集/『春と修羅』第二集補遺

8

春と修羅第三集・口語詩稿 ほか ―詩Ⅲ

『春と修羅』第三集/『春と修羅』第三集補遺/詩ノートより/口語詩稿

9

疾中・東京 ほか ―詩Ⅳ

「疾中」より/補遺詩篇より/三原三部/東京/装景手記

10

文語詩稿・短歌 ほか ―詩Ⅴ

文語詩稿五十篇/一百篇/文語詩未定稿より/歌稿B/雑誌発表の短歌/書簡中の短歌より/原稿断片中の短歌/生前発表童謡より/生前発表詩篇/句稿/エスペラント詩稿/歌曲より