loading...

筑摩選書

昭和期の陸軍

戦後80年・昭和100年の今こそ学び直す 本物の昭和史

長年にわたり昭和陸軍史研究をリードしてきた著者による陸軍研究の集大成。最新の論考に資料解説、戦史・軍事史ブックガイドを加えた、昭和史再考に必携の一冊。

定価

2,090

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01830-4

Cコード

0321

整理番号

0309

2025/07/15

判型

四六判

ページ数

352

解説

内容紹介

現代人に必須の知識である昭和史。だが昭和の戦争・軍隊とりわけ陸軍の歴史については、少なからぬ間違いを含んだ書籍が広く流通しており、正確な叙述による理解が求められている。本書は、長年にわたり昭和陸軍史研究をリードしてきた著者による、信頼できる昭和陸軍史論集。大正時代の陸軍の考察から始まり、昭和陸軍の派閥抗争史、二・二六事件の真相とその研究史など、昭和陸軍の理解に不可欠な論考を収録。昭和戦争史のブックガイドまで完備した、昭和史理解に必携の一冊。

目次

はじめに

第1章 甘粕大尉事件(大杉栄・伊藤野枝事件)
1 甘粕大尉事件をめぐる謎と問題点
2 伏線としての朴烈事件
3 アナキストの暴力・テロ行為と軍人の社会的評価
4 事件の背景にあった警察と陸軍の対立関係
5 ポピュリズム的世論の扇動──劇場型現象としての甘粕裁判

第2章 大正期の軍縮と世論
1 ワシントン条約を迎えて
2 第四五議会と陸軍軍縮案
3 陸軍軍縮案の発表とその社会的影響
4 大正期の軍縮の歴史的意義

第3章 昭和期陸軍エリートの成績・昇進・派閥
はじめに/陸軍の中央機構/陸軍のエリート養成システム/陸大エリートの人事・昇進システム/学校成績と昇進/陸軍における閥の形成原理/むすび

第4章 昭和陸軍派閥抗争史
陸軍派閥対立の起源――九州閥と一夕会・青年将校運動/皇道派vs統制派/二・二六事件後――石原派vs東条派/武藤軍務局長と田中・服部・辻の参謀本部/中堅幕僚グループの重要性

第5章 二・二六事件と昭和超国家主義運動
昭和超国家主義運動の起源/昭和超国家主義運動の展開/昭和期陸軍の抗争/二・二六事件

第6章 二・二六事件研究史
「皇道派史観」と「統制派史観」/青年将校たちの記録・証言から見えてくるもの/クーデターの構造の解明と「将軍たちの陰謀説」の否定/裁判資料の存在とその後の諸研究/裁判資料発見と公開の経緯

第7章 二・二六事件の史実と虚構──映画『叛乱』をめぐって
小説の映画化に向けて/青年将校の思想を肯定/空前の大作として大ヒット/俳優陣と映画のポイント/史実としての安藤の苦悩/史実との違いと処刑シーン

第8章 天皇指名制陸相の登場──昭和一四年における天皇・陸軍・新聞
阿部新首相決定/三長官会議による多田陸相の決定/関東軍の抵抗/東条派による多田陸相阻止活動/天皇の陸相指名/天皇が「陸軍と衝突するの虞」/天皇の陸相指名と陸軍の立場/多田駿陸相の可能性/小括

第9章 乃木希典──旅順戦・殉死・「昭和軍閥」
乃木の生涯/旅順攻囲戦の指揮/乃木の詩才/殉死の報道/殉死への庶民とインテリの反応/福沢の皇室論を絶賛/乃木・長州閥排撃から作られた「昭和軍閥」

第10章 堀悌吉──海軍軍縮派の悲劇
生い立ち/海軍兵学校/日本海海戦/フランス駐在と海軍大学校/ワシントン会議/国際連盟軍備縮小会議、ジュネーブ海軍軍備制限会議/ロンドン軍縮会議/上海事変/大角海相人事/退職後/考察

終章 昭和戦争・軍事史書を読み解く
I 昭和の戦争と陸軍を知るための基礎
1 必読書10冊
2 広田照幸『陸軍将校の教育社会史』
3 髙杉洋平『昭和陸軍と政治』

II 青年将校運動と二・二六事件
1 末松太平『私の昭和史』
2 磯部浅一『獄中手記』
3 『軍事史学 特集 青年将校運動』
4 半藤一利『歴史探偵 昭和の教え』

III 陸軍統制派とは何か
1 高宮太平『軍国太平記』
2 前田啓介『昭和の参謀』
3 前田啓介『辻政信の真実』

IV 日米開戦・陸軍の組織
1 牧野邦昭『経済学者たちの日米開戦』
2 山本武利『陸軍中野学校』
3 山本七平『一下級将校の見た帝国陸軍』

あとがき
初出一覧
人名索引

著作者プロフィール

筒井清忠

( つつい・きよただ )

1948年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団政策研究所主席研究員。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』『昭和史講義【戦前文化人篇】』『昭和史講義【戦後篇】上・下』『明治史講義【人物篇】』(編著、ちくま新書)、『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』(中公選書)、『帝都復興の時代』(中公文庫)、『石橋湛山』(中公叢書)など。

本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。

  • [*]は必須項目です。おそれいりますが、必ずご記入をお願いいたします。
  • (ここから質問、要望などをお送りいただいても、お返事することができません。あしからず、ご了承ください。お問い合わせは、こちらへ)
  • ※お寄せいただいたご意見・ご感想の著作権は小社へ帰属し、当ホームページや小社出版物に転載させていただく場合がございます。
  • ※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご了承ください。

「筑摩選書」でいま人気の本

旅に出たくなる本