増補 死者の救済史 ─供養と憑依の宗教学
未練を残しこの世を去った者に、日本人はどう向き合ってきたか。民衆宗教史の視点からその宗教観・死生観を問い直す。「靖国信仰の個人性」を増補。
数々の未練を残してこの世を去った死者たち。その無念に、残された者は何をしてあげることができるのか。この問いに日本人は古くから執心し、多種多様な解決策を練り上げてきた。祟りと祀り、穢れと祓い、供養と調伏、そして死者との直接の交流である憑依。これらをさまざまな角度から再検討し、さらに比較宗教学的な見地を織り込むことで、生者と死者とが邂逅する局面と、そこで行われる交流や対決、取引に新たな光を当ててゆく。文庫化にあたり、靖国神社を集合性と個人性との相克の場として捉えた論考「靖国信仰の個人性」を増補した決定版。
第1章 苦しむ死者と日本の民衆宗教
第2章 仏教説話集に見る死者の救済
第3章 供養システムの深化と定着
第4章 比較死者供養論にむけて
第5章 憑依再考
第6章 仏僧と憑依
第7章 憑依から供養へ
補論 靖国信仰の個人性
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