我々の消費社会が第三世界の人びとの貧困のうえに成り立っていることは近年広く知られるようになり、若者たちの間で「エシカル」（倫理的、道徳的）な消費行動を心掛ける動きは広まっている。多感な中高生時代には、貧困問題に自ら取り組み、社会貢献をしたいと一度は考えてみる若者たちは少なくないだろう。貧困問題への取り組みは、国連やNGO、NPOのような「支援」活動を通してのみならず、じつは、ビジネスを興すことでも可能なのである。日本に「エシカル」という言葉を根づかせた立役者である著者は、とりわけその素材の流通経路がブラックボックス化されていて、強制労働や児童労働が陰で横行していたジュエリーの世界に切り込み、不当な搾取のない取引ルートを自ら開拓して、貧困の現場に雇用を創出しつつ、エシカルなジュエリーの会社を立ち上げた。その経験をもとに現状をレポートしつつ、若者たちが、自分の純粋な夢と、社会貢献をしたいという意欲と、ビジネスをしたいという野望と、どれも諦めることなく、実現できる方法はいかにして可能なのか、具体的なアイディアを提言する。