素湯のような話 ─お菓子に散歩に骨董屋
場末の町々、溝川、渡し、そんな所で見聞きしたことである。文庫オリジナル
暇さえあれば独り街を歩く、路地裏に入り思わぬ発見をする。自然を愛でる心や物を見る姿勢は静謐な文章となり心に響く。
【解説: 伴悦、山本精一 】
- シリーズ:ちくま文庫
- 990円(税込)
- Cコード:0195
- 整理番号:い-81-1
- 刊行日:
2014/01/08
※発売日は地域・書店によって
前後する場合があります - 判型:文庫判
- ページ数:448
- ISBN:978-4-480-43128-8
- JANコード:9784480431288
- 在庫 問合せ
酒は飲まず煙草は吸わず、碁も打たず将棋も指さず、謡も謡わず茶も立てぬ、世間的に云えば無趣味極まる男である。暇さえ有れば独り杖を曳いて気侭に歩くだけの事である―、繊細かつ鋭敏な感覚を持って文学の世界に遊び、独り歩くことを好んだ素白先生。自然を愛でる心や、庶民の目線で物を見る姿勢は、思索にとんだ文章となり、静かに響く。幻の小説1編併録!
第1章 素白雑貨
第2章 素白好み
第3章 読我書屋
第4章 孤杖飄然
第5章 素湯のような話
第6章 滋味放浪
第7章 がんぽんち
小説 消えた火
2016.1.16 頑固堂
どうということのない話、を、淡々と語っていく。それが日本人にはわかる「滋味」に満ちている。ああ、老いたらこういう文章を書いてみたい。せめて一、二編、こういう文章を書けたらいい。と、次のページを繰る。
できるだけゆっくり読み通してから、さて、自分でも近所を、少し遠くを歩いて見ると、「素湯」のようにはいかないけれど、なるほどいつもの風景をあんな風に見れば味がある、こんな風に見れば細部に面白さがあると楽しくなる。
充分大人になったなぁ、と感じるようになった日本の大人にこれ以上の本は、なかなか見つからない。
何が書いてあるか、と聞かれると、困る。素湯を飲んでみてください、その味がする文章です、としか言い様がない。
2016.1.07 オキナマロん
見つめるものに対しての“愛”がにじみでた良い本でした。
読む前は、枯れた文章の本なのかな? と思っていたのですが、読んでみたら石ころの話などですら面白く、みずみずしい。
枯れてるだなんて失礼なことを予想したものですね。
すみません。
読み終えて「滋味」とはこういうことか、と思い知らされた気がしています。
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