82年生まれ、キム・ジヨン
韓国で100万部のベストセラー! 邦訳刊行。映画化決定! 女性が人生で出会う困難を描き、社会現象を巻き起こした話題作。解説 伊東順子。推薦文 松田青子
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作!韓国で100万部突破!異例の大ベストセラー小説、ついに邦訳刊行。
2021.3.13 チビのまま
私は21才と19才の息子がいます。不妊治療の結果子どもを授かりました。子どもを授かるまでにいろいろな慣習的な言葉に傷つくことが多々ありました。ずけずけと「こどもはまだ?」と聞かれることもありました。まあ、挨拶代わりなのだということもわかっていましたが。当時は結婚したら退職する女性が多かったし、結婚する相手も、女性が仕事を辞めるのが普通の社会だったと思います。就職中は残業当たり前、今ならブラック企業でした。飲み会は断りづらく、二次会は無理やり連れていかれ、カラオケでタンバリンを持たされました。たまらず帰ろうとしたら、非難され…
こんなことは忘れていましたが、『82年生まれ、キム・ジヨン』を読んで思い出しました。
本書の中で精神科医の妻が数学の問題を解くことに没頭しますが、わかります。自分でコントロールできることのありがたさ。子育ては思い通りにならないことだらけですから。私も今放送大学で数学をやり直しています。
キム・ジヨンがママ虫と言われたことについて。
当時2才4才の息子をバスに乗せたとき、息子がぐずりました。でも、降りずに終点までいって、終点で降りた時、「母親がちゃんと泣き止ませなかったらダメでしょ!」と、バスに乗っていた年配の女性に!言われてその場でしゃがみ、涙が止まらなかったことを思い出しました。その後次男が入院した際、夫に助けを求めたにも関わらず、夫は「俺に仕事を辞めろというのか」という一言ではね除けました。私はそれが納得できず、精神的に参って、苦しく安定剤を多く飲んでしまったことがありました。
今の社会はずいぶん子育てママに優しくなりました。
それでも、今、まさにこの今、追い詰められている女性がいるのだろうと思います。世の中の夫たちは、少しは変わったのでしょうか。女性が自分主体で人生を選べるように教育や、社会が改善されますように。なんの力にもなりませんが、私の経験を投稿することで、未来の女性の人生が少しでも豊かになりますように。
2019.7.01 00年生まれ、まなこ
本を読み終わるまで、何度も苦しくなって本を閉じた。自分が小さい頃から抱えてきたモヤモヤが、言葉となって返ってきた。言葉はモヤモヤの輪郭をハッキリとさせた。辛いけれど、これは私がこの国でこの性別で生まれたさだめなのだろう。
この本は韓国を舞台に、韓国の女性たちの苦しみが書いてあるのに、自分の母、祖母、自分のことに重なった。こんなにも共感することがあるだなんて。
まだまだ根深く、悲しく、怒りが湧く、女性差別の状況。母よりは生きやすい筈だと信じて、女性の権利を主張し獲得するために戦ってきた先人に感謝して生きるしかない。
将来、私が自分が娘を産んだとしても、その時に女が男と差別なく生きていける社会になっているとは思えない。今の状態から、そんな短期間になくなるようなものではないと思うから。それでも、その子が私よりは傷つかずに、生きやすい社会になっていてほしい。
特別なものは求めてない。ただ男と同じように女が生きたい、と言っているだけ。
2018.12.30 なかこ
こんなにも怒りと共感を覚えながら小説を読み進めたのは初めてかもしれない。時間を忘れるように読みふけり、時には鳥肌が立っていた。どうかフィクションであってほしいと思いつつ、これが事実の一部なのだとも強く感じた。
自分は23歳の社会人1年目の女性だが、今まで女性だからという理由で嫌な思いをしたことはほとんどない。これは紛れもなく、キム・ジヨンのような先人の女性たちの努力と犠牲のうえに成り立っている。生まれた時から自由がある私たちの世代ができることは、まずは自分で自分の幸せをつかみ、すべての人が生きやすい社会を実現していくことだと思う。
2018.12.15 ピーチ
私はまだ学生で、就職も結婚も出産も経験していません。
それでも、この本に書かれていることが、手に取るように分かりました。
“キム・ジヨン氏”とは、国も世代も違うのに、自分にも心当たりがあるエピソードが多すぎて、こんなに女性にとって普遍的な話だったんだなぁと驚きました。
日本では最近、医大入試での女性差別が社会的な問題になっているし、本当にタイムリーな話題だと思いました。
しかし、この本に書かれているようなことは、女性にとっては、あまりにも当たり前のことすぎて、それが差別だと認識することすら難しい気がします。
『82年生まれ、キム・ジヨン』は、そうしたことに改めて目を向けさせ、女性を奮い立たせてくれる本だと思います。
この本はキム・ジヨン氏の精神科医の目線で書かれていますが、物語の最後の締めの部分に、最大の闇を感じました。女性差別の問題の根深さを物語っている気がします。
この本が女性たちの深い共感を呼ぶということは、本来は悲しむべきことです。
この本を読んだ人たちが、「こんなこと現実にはありえないよねぇ~」と言って笑い飛ばせるような日が早く来てほしい。
そのために、私には何ができるのだろうか?と、考え続けています。
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