松田哲夫の王様のブランチ出版情報ニュース

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.9.27)

2008年09月27日

『センネン画報』と「池上永一『テンペスト』」


<小説ランキング> (リブロ池袋本店調べ・9/15~9/21)
① 池上永一『テンペスト(上・下)』(角川書店)
② 和田竜『のぼうの城』(小学館)
③ 湊かなえ『告白』(双葉社)
④ 宮部みゆき『おそろし』(角川書店)
⑤ 角田光代『三月の招待状』(集英社)
⑥ 恩田陸『きのうの世界』(講談社)
⑦ 東野圭吾『流星の絆』(講談社)
⑧ 柳広司『ジョーカー・ゲーム』(角川書店)
⑨ 池澤夏樹『セーヌの川辺』(集英社)
⑩ 宮城谷昌光『三国志』第7巻(文藝春秋)


<特集・池上永一『テンペスト』>
◎池上永一『テンペスト(上・下)』(角川書店)



「作家の圧倒的博識と筆力にただただ唖然、翻弄された。読み終わっても、映像が次々に浮かんでくる!」(堤幸彦さん)、「こんなに恋を応援したいと思ったのははじめてだ。私も登場人物と共に生きているかのようにワクワクした。」(三浦しをんさん)などなど、いま、本好きの間で話題を独占している小説。それが、19世紀末の琉球王朝を舞台に、男装の美少女が歴史を変えてゆく、王朝ファンタジー『テンペスト』。著者は、前作の『シャングリ・ラ』で幅広い層からの支持を集めた池上永一さん。「見せ場は150回!」と語る本作について、舞台となった沖縄・首里城でインタビューしました。 ひときわ輝く主人公をはじめとする魅力的な登場人物たち、さらに疾風怒濤の展開で読者を魅了するストーリーの秘密に迫りました。
谷原 (白石)みきちゃんも「漫画のように読める」と言ってましたけども。松田さん……。
松田 とにかく、面白いことはうけおいですけども、感じとしては、「ベルサイユのばら」や「チャングムの誓い」みたいな、ものすごく語り口のテンポがいいですし、主人公はとても魅力的ですし、次々と思いがけない事が起こってきて、本当にサービス満点のエンタテインメントという感じですね。


<今週の松田チョイス>
◎今日マチ子『センネン画報』(太田出版)



松田 日常の中のちょっとした瞬間を鮮やかに切り取る1ページ漫画、今日マチ子さんの『センネン画報』です。
N 「たとえば輪ゴム、のびたぶんだけぶつかって、ときどき行方不明」柔らかな線と淡い色彩で、日々の微妙な気持ちの移ろいをリアルに描き出す「叙情マンガ家」今日マチ子さん。ブログで、ほぼ毎日、1ページずつ発表していた「センネン画報」が単行本化されました。文化庁のメディア芸術祭審査委員会推薦作品も2年連続受賞した話題作。>
優香 私も見まして、本当にブルーの色がきれいなのと、風とか動きを常に感じるなという印象でした。私が好きなのは、「三脚」これですね。
松田 可愛いですよね。
優香 可愛いんですよ、すごく。(カメラが)彼女の頭に三脚のように載って。それと、「巻き直し」という、このマフラー。彼と、最初は違う巻き方してたんですけども、隣を見たら、急いで巻き直しちゃうみたいな、可愛い心がわかるわかるみたいな感じですね。
松田 そうですね。女子高校生の日常の中の瞬間、「気配」とか「気分」とかを見事に描き切っているんですね。絵だけで、セリフもないし、文字もほとんどない。それで1ページでおさまっているんで、何となく絵で見る俳句みたいな気もするし、ある意味では、非常にいいスナップショットを集めた写真集みたいな感じで、本当に独特のテイストのある作品ですね。
優香 わかります。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.9.20)

2008年09月21日

『海獣の子供』と「間瀬元朗『イキガミ』」


<コミックランキング> (三省堂書店全店調べ・9/8~9/14)
① 矢沢あい『NANA―ナナ―』20巻(集英社)
② 尾田栄一郎『One piece ワンピース』51巻(集英社)
③ 葉鳥ビスコ『桜蘭高校ホスト部』13巻(白泉社)
④ 北条司『エンジェル・ハート』27巻(新潮社)
⑤ 星野桂『D.Gray―man』16巻(集英社)
                                             
<特集・間瀬元朗『イキガミ』>
◎間瀬元朗『イキガミ』1~5巻(小学館)



この国には、国家繁栄維持法という名の法律がある。そこでは、多くの人間を生かし、国を繁栄させるため、選ばれた若者をあの世へ逝かす紙「逝紙(イキガミ)」が配られている――。突然届けられる死亡予告証「逝紙(イキガミ)」。それを受け取った者に残された時間はわずか24時間。前代未聞の“生きるドラマ”が、いま始まる! 松田翔太さん主演で映画化され、9月27日に公開される、今、一番泣ける物語です。今回、映画化を記念して著者の間瀬元朗さんにインタビューします。「イキガミ」というシステムをどこから発想したのか、物語の今後の展開や映画化されることなどについてお伺いしました。
松田 「イキガミ」が来るという恐怖ですね。それと、「イキガミ」という制度を作る権力に対する恐怖、二重の恐怖がギリギリと迫ってくるんで、本当に、誰でも読むと、「自分に『イキガミ』が来たらどうするんだろう」って、考えさせられますよね。


<今週の松田チョイス>
◎五十嵐大介『海獣の子供』1~3巻(小学館)



松田 壮大なスケールの海洋冒険ファンタジー・コミック、五十嵐大介さんの『海獣の子供』です。
N 自然の描写に定評のある五十嵐大介が描くファンタジー『海獣の子供』。ある夏休み――少女・琉花が出会ったのは、ジュゴンに育てられたという少年「海」。大きな流れ星、光となって消える魚……彼に出会ってから次々と起こる不思議な出来事。一方、世界各地でも海洋にまつわる異変が相次いで起こる……。港町と水族館を舞台に繰り広げられる、五感をふるわす少年少女海洋冒険コミック。>
小林 はい、こちらをご覧下さい。今回はですね、『海獣の子供』の原画の複製をお借りしてきました。
優香 すごーい。細かいですよね。美しい。
翔太 引き込まれますね。
松田 とにかく絵が素晴らしいんですね。自然の絵が素晴らしくて、海原の広がりとか海流のうねりとか、水しぶきとかの繊細なきらめきとか、本当に絵だけでも見とれてしまうような。本当に、大自然が主役だなっていう気がするコミックですね。
谷原 そうですね。人間って、一番高い山は登れていても、一番深い海って潜れていないんですよね。地球の三分の二は海で、まだまだ未開の地が海の中にはある。ぼくも波乗りが好きで海によく行ったりするんですけども、海の中には何が潜んでいるのかわからないという恐怖があったりして。
松田 そういう大自然を背景にして、登場人物たちが個性的で、静かなんだけど大自然と絡み合いながら、謎に迫っていくんですね。本当にスケールの大きいファンタジーで、これからどうなっていくんだろうって、ワクワクしますよね。
谷原 ファンタジーなんだけどリアリティがあるのは、海のもつ不思議さみたいなものが一役買っているのかなと思います。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.9.13)

2008年09月14日

『告白』と「「料理本」特集第2弾!」


<総合ランキング> (有隣堂書店全店調べ・8/31~9/6)
① Jamais Jamais『O型自分の説明書』(文芸社)
② 『ARASHI IS ALIVE!嵐5大ドームツアー写真集』(集英社)
③ 宮崎駿『崖の上のポニョ』(徳間書店)
④ 西尾維新『偽物語(上)』(講談社)
⑤ Jamais Jamais『A型自分の説明書』(文芸社)
⑥ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑦ Jamais Jamais『B型自分の説明書』(文芸社)
⑧ 編集工房桃庵『おつまみ横丁』(池田書店)
⑨ 森博嗣『目薬αで殺菌します』(講談社)
⑩ 細野真宏『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身につく本』(小学館)
                                        
<「料理本」特集第2弾!>
現在35万部突破の『おつまみ横丁』に始まり、いま本の世界で熱いのが「料理本」。ブランチでも7月に特集し大反響でした。その後、さらに新たな人気本が続々登場しているんです。今回は、今最も売れている本から、これから発売予定の注目作まで、特徴ある3冊をご紹介します!


◎編集工房桃庵『もう一軒 おつまみ横丁』(池田書店) 9月18日発売予定
この本をきっかけで厨房に入るようになったお父さん多数。そんな料理経験の少ない男性陣を中心に人気の本の第2弾は、大阪・東京の人気居酒屋を精力的に取材。300以上のレシピの中から美味しいものを厳選! 怒涛の185品が紹介されています。


◎板木利隆『からだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)



料理本の中でも今ブームなのが「野菜本」! その中で最も売れているのが、現在19万部突破の『野菜の便利帳』。そこには、たっぷりの野菜を上手に食べるコツが満載されています。野菜の栄養価・旬・おいしい食べ方・正しい選び方・安全性など。一見すると、野菜の辞典のようです。


◎SHIORI『作ってあげたい 彼ごはん3』(宝島社)



テレビ・雑誌で活躍するフードコーディネーターSHIORIさん。アメブロ・料理ジャンルでダントツの人気を誇るブログとして注目を集め、シリーズ1、2だけで33万部を突破している人気シリーズ! SHIORIさんから「小さなキッチン、少ない道具で、パパッと作れてカレも喜ぶこと間違いなしの一品」を教えていただきました。


<今週の松田チョイス>
◎湊かなえ『告白』(双葉社)



松田 新人のデビュー作とは思えない、うまくて怖いサイコ・ミステリー、湊かなえさんの『告白』です。
 「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」……我が子を学校で亡くした女性教師の告白。教師がHRで明らかにした犯人とは。その真相は、「クラスメート」「犯人」「犯人の家族」らがモノローグ形式で語るうちに明らかになっていくのだが。高い評価を得て、小説推理新人賞に選ばれた話題作。>
谷原 優香ちゃん、はまったそうですが。
優香 はまりました。すごく面白かったです。語り口も面白いですし、会話があるわけじゃないですけども、会話しているような。全部、一人がしゃべるというか、圧倒的な文章力ですね。
松田 基本的にモノローグ、いろんな人の告白で綴られている。だから、その人が耳元でささやいてくれているような、真実を語りかけてくるような感じなんですけども。モノローグって、人間って、自分の都合のいいように歪めているじゃないですか。いろんな人の証言を重ね合わせていくと、みんなの歪みがどんどん見えてくるんですよ。
優香 そうなんですよ。本当に。
松田 だから、怖いんですよ。
優香 一つのものを、いろんな方向から見るので。普通、一人の気持ちしか解らないじゃないですか。こっち側からもわかるので、すごいですよね。
松田 そうですね。
谷原 ぼくは、ちょうど読み始めたところで、ちょうど第一章が終わったところなんですが。最初は女教師の独白から始まって、その教師であろうとする姿と、母親という姿と、女という姿が見えて、これはどうなるんだろうと、すごい楽しみで。でも、ミステリーだから、どんでん返しとかなんかあるんですか。
松田 ええ、途中までは、一つの事件をいろんな方から光を当てて深めていくんですね。ところが、最後にとんでもない大胆なラストが待っていましてね。怖いと言えば怖いです。
優香 怖いですね。はまります。
谷原 早く読みたいです。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.9.6)

2008年09月06日

『さよなら渓谷』と「特集・姜尚中『悩む力』」


<夏の文庫フェア・ランキング>
夏の文庫フェアを行っている集英社・新潮社・角川書店の文庫売上げTOP5を紹介!
*新潮社*
①梨木香歩『西の魔女が死んだ』
②小林多喜二『蟹工船』
③重松清『きみの友だち』
④夏目漱石『こころ』
⑤太宰治『人間失格』
*角川書店*
①恩田陸『ユージニア』
②東野圭吾『さまよう刃』
③重松清『みぞれ』
④太宰治『人間失格』
⑤有川浩『空の中』
*集英社*
①村山由佳『夢のあとさき』
②下川香苗『花より男子ファイナル』
③石田衣良『愛がいない部屋』
④太宰治『人間失格』
⑤東野圭吾『黒笑小説』


谷原 松田さん、いま『人間失格』が売れている理由というのは?
松田 今年、三社ともカバーをリニューアルして、松山ケンイチさんとか、『Death Note』の小畑健さんとか、それが話題になって売れ始めているんです。それにしても、60年経った作品がこんなに売れるというのは、太宰の時代よりも、他人との関係がうまくいかないと思っている若い人たちがふえているんだろうという気がするんですね。太宰は、今年が没後60年で、来年が生誕100年で、いろんな意味で注目されているんですけども、『人間失格』以外にもおもしろい作品がたくさんあるんで、是非、もっともっと読んでほしいなと思いますね。


<特集・姜尚中『悩む力』>
◎姜尚中『悩む力』(集英社)



情報ネットワークや市場経済圏の拡大にともなう猛烈な変化に対して、多くの人々がストレスを感じている。格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己肯定もできず、楽観的にもなれず、スピリチュアルな世界にも逃げ込めない人たちは、どう生きれば良いのだろうか? 本書では、こうした苦しみを百年前に直視した夏目漱石とマックス・ウェーバーをヒントに、最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱する。現代を代表する政治学者の学識と経験が生んだ珠玉の一冊。今回、姜尚中さんの仕事場・東大の研究室でインタビューします。


<今週の松田チョイス>
◎吉田修一『さよなら渓谷』(新潮社)



松田 昨年、『悪人』で大きな文学賞を連続受賞した吉田修一さんのクライム・ストーリー『さよなら渓谷』です。
N 吉田修一が描く、犯罪者と被害者のドラマ『さよなら渓谷』。きっかけは隣の家で起こった幼児殺人事件だった。その偶然が、どこにでもいそうな若夫婦が抱えるとてつもない秘密を暴き出す。 15年もの長い歳月を経て、事件の“被害者”と“加害者”が夫婦を演じざるをえなくなった残酷すぎる理由とは――。「どこまでも不幸になるために、私たちは一緒にいなくちゃいけない……」。人の心に潜む「業」に迫った長編小説。>
松田 『悪人』もそうだったんですが、冒頭から、小説を読んでいるというよりも、現実の事件現場を目撃しているような、異様な緊迫感に包まれているお話なんですね。そして、そういうなかから、最初にスポットが当たっていた事件ではなくて、その隣の家の男と女にどうも謎があるということがだんだんわかってきて、ぐいぐいひきこまれるんですけども。その男女の驚くべき過去と現在がどんどんわかってくる。それで、ある犯罪にからんでいるんですけども、犯罪というものが、法律とか心情的な善悪判断だけでは割り切れないものが残るし、犯罪に関わった人たちは、被害者も加害者も、重い傷を抱えて生きていかなければいけないということも切々と伝わってくるんですよね。
優香 わたしも読みました。本当にすぐ読めるぐらいな薄さなんですけども、読み終わった後に、その何倍もの厚さがあったんじゃないかというぐらいの重さを感じて、ズシーッと重いものが心に乗っかりましてけども。あの、ラストまで行った時に、私が感じたものと松田さんが感じたものがずいぶん違うという……。
松田 本当に重くて暗い話なんですけども、ラストには、闇の底からひとすじの光が見えてきたっていう感じがしました。だから、犯罪小説というよりも、究極のラブストーリーだという気がしたんですね。
優香 そうですね、うんうん。男女で見方が違うと思いますよ。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.8.30)

2008年09月01日

『夏から夏へ』と「追悼・赤塚不二夫特集」


<今週の松田チョイス>
◎佐藤多佳子『夏から夏へ』(集英社)



谷原 まず今日は、松田さんもイチオシという、一冊の話題の本から紹介します。北京オリンピックで悲願のメダルを獲得したあの選手たちの珠玉のノンフィクションです!
N 北京オリンピック陸上男子、4×100リレー決勝。オリンピックにおいて、トラック競技で男子のメダルは未だかつてない。ついに悲願のメダル獲得。この日本代表リレー・チームを追いかけている作家がいた。小説『一瞬の風になれ』で本屋大賞を受賞した佐藤多佳子さん。自身初のノンフィクション『夏から夏へ』。個人ではメダルに届かなかった4人のランナーが力をあわせてリレーで世界に挑む。去年夏の大阪世界陸上から、今年夏の北京へ。研究と努力を重ね、4人が心を一つにしていく舞台裏が克明に描かれる。>
松田 これは、北京オリンピックの感動シーンが鮮やかに残っている間に、是非読んでほしい作品です。本当に歴史的な偉業を成し遂げた塚原、末續、高平、朝原という4人のアスリートの姿が活き活きと立ち上がってくるんです。あの日の感動が何倍にもふくらんで感じられる、そういう作品なんですね。
谷原 結果は知っているじゃないですか、ぼくたち、銅メダルという。その裏側にはすごいストーリーが隠されていると思うんですよね。
松田 4人は当然ですけども、周辺のコーチとか控えの選手とかに、ていねいな取材をしているんですね。だから、4人の個性が一人一人わかりますし、それに4人の信頼関係がなければできないレースですし、それから、バトンミスがこわい競技ですから、バトンパスの練習をものすごくやるんですね。実は、日本の選手は一人一人はそれほど速くないのに、なんであれだけ速く走れるかというと、その辺に秘密がある。
谷原 技術が。
松田 技術があるんですね。だから、佐藤さんが4人と一緒に北京オリンピックに向かって走ったという感じの、すごく爽快感のある素晴らしい作品なんですよね。
谷原 そう、いまのうちに読まないとね。
優香 『一瞬の風になれ』の時も、佐藤さん、本当に空気感が伝わってくるんです。風が吹いている感じが。だから、今回楽しみですね。
松田 そうですね、4人のメンバーも、佐藤さんの『一瞬の風になれ』を読んでいるんで、だから、佐藤さんならということで、ほかの人には語らないことを語ってくれたりするんですね。本当に、今読むべき本だと思いますね。


<追悼・赤塚不二夫特集>
◎赤塚不二夫『天才バカボン』(竹書房文庫)ほか
◎赤塚不二夫『おそ松くん』(竹書房文庫)ほか

ギャグ漫画の巨匠・赤塚不二夫さんが今月2日、亡くなりました。『天才バカボン』、『おそ松くん』、『ひみつのアッコちゃん』などのギャグ漫画の大傑作を生み出した漫画家・赤塚不二夫とは一体どんな人物だったのでしょうか。手塚治虫に影響を受けた新人時代、藤子不二雄、石ノ森章太郎などと切磋琢磨したトキワ荘時代、そして大ヒット作を連発させ、漫画界に止まらず、その多才振りを発揮した晩年まで、赤塚さんの作品や交友関係を通して、その漫画家人生を振り返ります。トキワ荘時代を知っている鈴木伸一さんが、赤塚さんの人と作品について語ってくれました。
谷原 ぼくなんか、TVアニメで見ている世代なんですが、その前に原作で読んでいる世代なんですね、松田さんなんかは。
松田 そうですね。毎週、週刊誌二誌に強烈な連載が載っているという時代で、毎週毎週驚かされるんですよね。さっきも(VTRで)少女漫画のようなのがあったけど、全編セリフが漢字だけの回があったり、一つもセリフのない回があったり、ものすごく前衛的なんですよ。それまでの漫画をぶちこわしていく、アナーキーなんですけども、陽気で楽しいんですよ。それがたまらなく面白くて。たぶん、タモリさんなんかは赤塚さんがいなければ誕生していなかったですし、お笑いにしても、映画にしても、アートにしても、いろんなものにものすごく大きい影響を与えている人なんですね。
谷原 いろんな素晴らしい作品を生み、そして、いろんな人も発掘した……。
松田 本当に偉大な人だと思いますね。
谷原 これでいいのだ!

「本のコーナー」をネットしているのは、TBS・HBC(北海道)・TUY(山形)・TUF (福島)・SBC(長野)・UTY(山梨)・TUT(富山)
MRO(石川)・SBS(静岡)・ RCC(広島)・RSK(岡山)・ITV(愛媛)・NBC(長崎)・RBC(沖縄)・BS-iです。

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