ぼくの昆虫学の先生たちへ
自分を忘れ昆虫を追い求めた少年時代。多くの昆虫と昆虫学者との出会いを通して、未知なる世界へといざなわれてゆく。ファーブル、手塚治虫など14人への手紙。
「初夏の青空を背景にしたオオムラサキの荘厳な飛翔があれば、それだけで世界は完全だった。イチジクの木の葉にキボシカミキリの銀河のような黄色の斑点模様を発見すれば、もうその日の幸福は約束された」。昆虫を追い求める至福の時間―。南米などで精力的に活動をつづける文化人類学者が書いた、自らの原体験ともいうべき昆虫との出会いから、未知なる生命の世界へといざなってくれた14人の師への架空の手紙。
ジガバチの教え―アンリ・ファーブル先生へ
カスリタテハの幻影―チャールズ・ダーウィン先生へ
クジャクヤママユの哀しみ―ヘルマン・ヘッセ先生へ
ギンヤンマの音楽―志賀夘助先生へ
オオカマキリの祈り―得田之久先生へ
聖タマオシコガネの無心―北杜夫先生へ
クモマベニヒカゲの挽歌―田淵行男先生へ
ギフチョウの沈黙―名和靖先生へ
ユスリカの呪文―手塚治虫先生へ
スズメガの貪欲―ヨリス・ホフナーヘル先生へ
ウスバシロチョウの自伝―ウラジーミル・ナボコフ先生へ
コノハチョウの共同体―五十嵐先生へ
ハンミョウの流浪―安部公房先生へ
イツパパロトルの聖樹―ドン・リーノ先生へ
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