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筑摩選書

復帰50年の沖縄世論

大規模世論調査から見た、沖縄の県民意識の実態。

2022年、沖縄県民1000人以上の回答を得た世論調査から、ナショナル・アイデンティティの位相と米軍基地をめぐる意識との関係を明らかにする。

定価

1,870

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01824-3

Cコード

0336

整理番号

0306

2025/06/16

判型

四六判

ページ数

240

解説

内容紹介

沖縄では、米軍基地に対する態度と、自身のナショナル・アイデンティティの位置づけが結びつくような状況がある。2022年9月、両者の複雑な関係を明らかにするために行われた世論調査は、沖縄県民3800人を対象とし、1000人以上から回答を得た大規模なものになった。本書は、その結果から見えてきたものを示す。

目次

序章 沖縄におけるアイデンティティと米軍基地問題 熊本博之・田辺俊介
1 復帰50年をむかえた沖縄のアイデンティティ
2 本書で用いる世論調査データの概要
3 本書の構成
4 本書における用語法について

第1章 アイデンティティ――沖縄における多様性と複層性 田辺俊介
1 沖縄における「アイデンティティ」
1-1 沖縄における「アイデンティティ」とは何か?
1-2 沖縄の歴史とアイデンティティ
1-3 測定される「アイデンティティ」
2 自分は「何人」か?
2-1 自身の定義としてのアイデンティティ
2-2 誰が、どのアイデンティティを抱いているのか
 何によって「沖縄人」「日本人」を定義しているのか
4 アイデンティティの多様性とその影響力

第2章 階層――沖縄における格差と政治 田辺俊介
1 沖縄における社会階層
1-1 沖縄における階層構造の現在
1-2 沖縄の階層構造とその歴史性
2 社会階層と政治意識の関連
3 沖縄における階層と政治意識の関連性
3-1 沖縄における階層分布とそのアイデンティティとの関連
3-2 社会階層と政治意識
4 沖縄における社会階層と政治意識

第3章 若者――基地意識の世代差の背景にあるもの 米田幸弘
1 世代差を問う視点
2 基地意識からみる若者の傾向
2-1 「オール沖縄」との距離感
2-2 「理不尽さの感覚の弱さ」と「消極的な容認」
3 補論 加齢効果なのか世代効果なのか
4 基地意識の世代差はどこから来るのか
4-1 世代差の要因をめぐる4つの仮説
4-2 仮説の検証
5 異なる言論空間、異なる世代経験

第4章 政治――県知事選の投票行動と反基地運動に対する評価 松谷満
1 「民意」を理解するための3つの問い
2 なぜ知事選で革新(オール沖縄)候補が勝てるのか
3 なぜ若い世代では革新(オール沖縄)候補が勝てないのか
4 なぜ反基地運動への共感は広がらないのか
5 明らかになった「民意」

第5章 辺野古移設――賛成する人たちの葛藤 熊本博之
1 断絶と分断
2 普天間基地の辺野古移設についての意識状況
2-1 辺野古移設への賛否
2-2辺野古移設をめぐる意見の現状
3 辺野古への移設に葛藤を抱える人たち
4 普天間基地移設問題が沖縄社会にもたらしたもの

終章 復帰50年の沖縄世論 熊本博之
1 プレスリリースへの反応
2 基地負担そのものへの評価と投票行動
3 基地反対運動への評価
4 ナショナル・アイデンティティと階層
5 溝を埋め立てるために

補章 沖縄県における/関する世論調査――「沖縄とは何か」を探る軌跡 高橋順子
1 沖縄県における調査、沖縄県に関する調査
2 復帰前の世論調査――世論形成/復帰の方法/格差是正
2-1 政府、自治体等による調査
2-2 新聞社、放送局等のマスメディアによる調査
2-3 大学、学術団体、シンクタンク等による調査
3 復帰後の世論調査││復帰評価/米軍基地/文化的資源/自立
3-1 政府、自治体等による調査
3-2 新聞社、放送局等のマスメディアによる調査
3-3 大学、学術団体、シンクタンク等による調査
4 沖縄県における世論調査の特徴
5 沖縄県における世論調査一覧

あとがき
参考文献

著作者プロフィール

熊本博之

( くまもと・ひろゆき )

熊本 博之(くまもと・ひろゆき):1975年、宮崎県生まれ。明星大学人文学部人間社会学科教授。著作に『辺野古入門』(ちくま新書)、『交差する辺野古 問いなおされる自治』(勁草書房、第47回藤田賞)、共著に『東京の生活史』(筑摩書房)、『米軍基地文化』(新曜社)などがある。

田辺俊介

( たなべ・しゅんすけ )

田辺 俊介(たなべ・しゅんすけ):1976年、神奈川県生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は社会意識論、計量社会学。著作に『ナショナル・アイデンテイティの国際比較』(慶應義塾大学出版会)、共著に『格差と分断/排除の諸相を読む』(晃洋書房)、『日本人は右傾化したのか』『民主主義の「危機」』(ともに勁草書房)などがある。

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