甘美な人生
およそ倫理や人間主義にかけ離れた酸鼻と放蕩の中にのみ立ち現れる文芸の可能性を浮かび上がらせる挑戦的な文芸評論集。
【解説: 久世光彦 】
- シリーズ:ちくま学芸文庫
- 968円(税込)
- Cコード:0195
- 整理番号:フ-15-1
- 刊行日:
2000/08/09
※発売日は地域・書店によって
前後する場合があります - 判型:文庫判
- ページ数:240
- ISBN:4-480-08572-6
- JANコード:9784480085726
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この世の如何なる酸鼻であろうと許容し、愚劣で、無意味な生存を肯定する。此岸を「彼方」として生きる明確な意志さえあれば、人生は「甘美」な奇跡で満ち溢れる。柄谷行人の「営みとしての批評」を炙り出し、破壊的な衝動と理不尽な力を村上春樹の小説に読みとる。芥川の「憎悪と笑い」、谷崎の「虚無的な決意」、日本の弱き神の脆き夢としての『万葉集』…、さまざまな文学を巡りながら、およそ倫理や社会道徳に迎合することなく、世俗の最も愛情こまやかな絆からさえ逃れ出る、耽美への意志が穿つ現世の真実。平林たい子賞受賞の挑戦的な評論集。
批評私観―石組みの下の哄笑
柄谷行人氏と日本の批評
ソフトボールのような死の固まりをメスで切り開くこと―村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』第一部、第二部
放蕩小説試論
芥川龍之介の「笑い」―憎悪の様式としてのディレッタンティスム
精神の散文―佐藤春夫論
水無瀬の宮から―『蘆刈』を巡って・谷崎潤一郎論
木蓮の白、山吹の黄
斑鳩への急使―万葉集論
ほむら、たわぶれ―和泉式部論
さすらいたまふ神々―生きている折口信夫
日本という問い
生活の露呈―河井寛次郎論
甘美な人生
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