ちくま学芸文庫
悪文の構造
─機能的な文章とは
千早耿一郎
著
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“異神”とはなんの謂いか。新羅明神に赤山明神、摩多羅神、宇賀神、牛頭天王…。耳慣れぬ異貌の神々。装いもそれぞれに中世密教の中枢に鎮座しながら、由来は神話中の神とも仏教典中の仏とも明かさず、あるいは祟りをなし、習合と変容を繰り返し、偽経中に生き延びるマジカル・フィギュア、第三の尊格たちの闇を探る。上巻は新羅明神と摩多羅神の周辺。唐山・新羅から院政前夜の叡山に来臨した新羅明神には、その由来から寺門対山門、寺門対王法の拮抗の歴史的契機をうかがい、摩多羅神には天台常行三昧行の守護神、修正会・延年舞における芸能神、本尊たる玄旨帰命壇における秘義潅頂の諸相まで、異神の来歴と変貌の現場をつぶさに解明する。
第1章 異神と王権―頼豪説話をめぐって(『平家物語』頼豪説話の構成とモティーフ
呪殺された王―後三条天皇崩御譚
頼豪説話の成立
鼠の秀倉譚 ほか)
第2章 摩多羅神の姿態変換―修行・芸能・秘儀(謎の神・摩多羅神
叡山常行堂と摩多羅神
秘儀と摩多羅神―摩怛利神法と玄旨潅頂の世界
修正会のなかの摩多羅神―秘法相伝と摩多羅神の「顕夜」 ほか)
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