熱学思想の史的展開3 ─熱とエントロピー
<エントロピー>誕生!
隠された因子、エントロピーがついにその姿を現わす。そして重要な概念が加速的に連結し熱力学が体系化されていく。格好の入門篇。全3巻完結。
「エントロピー」の誕生は難産だった。熱の動力をめぐるカルノー以来の苦闘をへて、熱力学はやがて第1法則と第2法則を確立し、ついにエントロピー概念に到達する。マクロな自然の秘密を明るみに出したそのエントロピーとは何か。「エネルギーの散逸」とのみ捉えられがちな誤謬を正しつつ議論は進む。第3巻は熱力学の完成とその新たな展開。マクスウェル、トムソンらの寄与とクラウジウスの卓抜な総合化、さらにギブズの化学平衡論により制約因子としてのエントロピーの本性が明らかとなってゆく。論文・書簡を含む多くの原典を博捜して成った壮大な熱学史。格好の熱力学入門篇。全3巻完結。
第5部 熱力学の原理の提唱(熱の普遍性の原理 熱力学第1法則の確立―クラウジウスの50年論文(その1)
熱の特殊性の原理 熱力学第2法則の提唱―クラウジウスの50年論文(その2)
カルノー関数と絶対温度をめぐって―ウィリアム・トムソンの問題意識
ジュール‐トムソン効果と絶対温度の定義―トムソン:1852‐54年
熱力学第2法則の数学的表現―トムソンとクラウジウス:1854年)
第6部 エネルギーとエントロピー(第2法則からエントロピーへ―クラウジウスの模索
熱力学の体系化にむけて―利用可能なエネルギーと平衡条件
自由エネルギーと熱学の体系―ヨシア・ウィラード・ギブズ
ネルンストの定理と熱力学第3法則―ネルンストとプランク
熱学と熱的地球像―熱学が意図してきたもの)
2009.5.18 魚
30ほど前に「熱力学」の教科書を読んでいたので、いくつかの用語も数学手法も理解しているつもりでした。しかし、全3巻を読んでみて肝心のことは何も分かっていなかったと反省しました。
文庫になって、新しいデータ(例1、2など)を加えたり「非可逆過程」の法則の重要性をより鮮明にするような改訂がされているので、いまは最近出た熱力学の本をあらためて全3巻と対照しながら慎重に読み進めていこうと思っています。
例1.カルノー(イケメン!)やクラウジウスら研究者たちの肖像。
例2.クラウジウスの1885年の講演([3]207頁)。
2009.2.13 森の熊五郎
待望の書籍。内容が濃く、何度も何度も読んでいきたい。その意味では長らく絶版で、待ち望んだ本。でも欲を言えば文庫ではなく、ハードカバーの本で出てほしかった。そして何度も繰り返し読みたかった。今度は一冊にまとめて出してほしい。
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