ロバート・オッペンハイマー ─愚者としての科学者
マンハッタン計画を主導し原子爆弾を生み出したオッペンハイマーの評伝。多数の資料をもとに、政治に翻弄、欺かれた科学者の愚行と内的葛藤に迫る。
理論物理学者のロバート・オッペンハイマーは、ロス・アラモス研究所初代所長としてマンハッタン計画を主導し、広島、長崎に災厄をもたらした原子爆弾を生み出した。その結果、「原爆の父」と呼ばれるようになるが、彼自身は名声の陰で原爆のもたらした被害、さらに強力な兵器「水爆」の誕生につながる可能性があることに罪の意識を抱き、その開発に反対の意思を表明していた。本書は、これまでに数多く書かれたオッペンハイマー伝をつぶさに再検討し、その多くに異を唱える。豊富な史料をもとに、彼の足跡を丹念に辿り、政治に翻弄され、欺かれた科学者の実像に迫る。
優等生
救いと物理学
美しき日々
核分裂連鎖反応
ロスアラモス
トリニティ、広島、長崎
プルーデンスに欠けた男
核国際管理の夢
戦略爆撃反対
オッペンハイマー聴聞会
物理学者の罪
晩年
2024.4.21 小波秀雄
今話題になっている映画『オッペンハイマー』では、原爆製造のマンハッタン計画を主導したオッペンハイマーを生い立ちから晩年まで追って見応え十分な大作でした。人類を抹殺しうる殺戮兵器を作り出し、誠実で人間的な科学者がモンスターになってしまった現代とはなにか。科学のありようを考えさせられます。
映画を観て、あらためて本書を読み返すと、映画はこの本の初版(1996)当時に、藤永茂氏が書いたものをあらためて確認させるもので、さらに本書はその奥までを見抜いていたのだと慧眼に感じ入るものがありました。本書がながく読みつがれることを望みます。
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