文天祥
モンゴル軍の入寇に対し敢然と挙兵した文天祥。宋王朝に忠義を捧げ、刑場に果てた生涯を、宋代史研究の泰斗が厚い実証とともに活写する。解説 小島毅
南宋末、フビライ率いるモンゴル軍が南下し、王朝は危殆に瀕していた。政治の中枢は腐敗と混乱のなかにあったが、ひとりの秀才が敢然と挙兵し、防禦にあたる。文天祥その人である。だが大勢に利はなく、あえなく囚われの身となり、その間に宋は三百年の歴史に幕を下ろすこととなる。天祥は、フビライから宰相就任要請があるもこれを固辞。五言古詩「正気の歌」を遺してついに刑場に果てる―。反時代的なまでに儒教道徳に忠実で、純なる人間性を貫いた生涯。それは、人間のひとつの極限をわれわれに突きつける。宋代史研究の泰斗が厚い考証を基に天祥の実像を描いた名著。
1 栄光
2 風雲
3 攻防
4 落日
5 気概
6 激流
7 亡国
8 朔風
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