loading...

ちくま学芸文庫

精神の幾何学

病者はいかなる体験空間にいるのか 独創的なファントム論の核心をなす代表作

ウォーコップの哲学を基点に、言語をめぐる考察と精神分裂病(統合失調症)論を展開。独創的なファントム理論の核心を伝える代表作。解説 内海健

定価

1,540

(10%税込)
ISBN

978-4-480-51302-1

Cコード

0147

整理番号

-35-1

2025/05/08

判型

文庫判

ページ数

352

解説

内容紹介

精神の病を捉えるにはどのような基準を持てばよいのか。本書は、多領域の知見を経ながらそのことを提示しようとした試みである。著者が方法論の基盤とするウォーコップの哲学を解説した後、言語をめぐる考察が展開される。そして、立体的で非対称性を持った対のカテゴリー『パターン』、体験距離から成り立つ「ファントム空間」、形式的・構造的・関係的要因を意味する「図式」という三つの概念を手がかりに、精神分裂病(統合失調症)の幾何学的構図が描かれる。独創的なファントム論を展開した著者の核心をなす作品。
解説にかえて 内海 健

目次

序にかえて

第Ⅰ部 ウォーコップ註釈
イントロダクション
 1 説明の性質
 2 生物学
 3 心理学
 4 社会学
 5 時間・空間・数
 6 感覚
 7 美学

第Ⅱ部 「言語」をめぐる考察
 1 思想の趨勢
 2 精神医学にとっての言語学
 3 シニフィアンとシニフィエ検討
 4 身体器官としての言語
 5 無意識、体験象徴(Σ)
 6 脱コード化へ?

第Ⅲ部 精神病理学的事象
 1 まえがき
 2 『パターン』逆転
 3 ファントム空間の図式
 4 分裂病のための「仮説」と第1公式Af-F
 5 Af-F の諸性格(続)――離人症を中心に
 6 第2公式((AB))-F――妄想知覚
 7 意味の序列―妄想知覚(続)
 8 第3公式E-eB――させられ体験、擬遊戯性
 9 第4公式E-((AB))――擬憑依
 10 その他の分裂病症状
 11 分裂病の辺縁領域

おわりに
文献
後記  
解説にかえて――安永先生の生涯と思い出(内海 健)

著作者プロフィール

安永浩

( やすなが・ひろし )

安永 浩(やすなが・ひろし):1929?2011年。東京生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院分院神経科科長を経て、長谷川病院副院長を務めた。医学博士(東京大学)。主要著書をまとめた著作集(全4巻、金剛出版)がある。

「ちくま学芸文庫」でいま人気の本

これから何かを始めたい人たちへ