小山聡子
( こやま・さとこ )小山 聡子(こやま・さとこ):1976年生まれ。98年筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒業。2003年同大学大学院博士課程歴史・人類学研究科修了。博士(学術)。現在、二松学舎大学文学部教授。専門は日本宗教史。著書に『親鸞の信仰と呪術――病気治療と臨終行儀』(吉川弘文館)、『浄土真宗とは何か――親鸞の教えとその系譜』『もののけの日本史――死霊、幽霊、妖怪の1000年』(中公新書)、『往生際の日本史――人はいかに死を迎えてきたのか』(春秋社)などがある。
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古代、鬼は中国から仏教がはいってくるなかで、その中の仏典に記載されており、そこから日本にも知られるようになった。ただし中国では鬼は形がなく概念に過ぎなかったが、日本では経典が作られていく中で次第に鬼の形も言葉にされていくようになり、絵としても表現されるようになっていった(ちなみに、インドの鬼は形がある)。当時は死をもたらす恐怖の対象であり、陰陽道によって鬼があらわれるとされる日が月に2、3度設定されており、その日は家から出ないように多くの人がしていたのである。ただし貴族の日記などをみるに、好きな人に会いに行くためには鬼が出ようと外にでていくものもいたり、鬼に会わないよう恋人の近くに引っ越すようなケースもあったらしい。このような形で、古代から中世、近世・近代と、鬼に関する様々な話題を取り上げ、鬼がなぜここまで消えてこなかったのか、日本人の心を引き付けているのかをみていくなかで、反対にその日本人の精神性も解き明かす一冊にする。
第1章 鬼の登場―古代(大陸からの到来
恐れられた忌夜行日
病気をもたらす鬼)
第2章 鬼ヶ島のはじまり―中世(鬼の対処法
鬼の棲み家
地図に描かれた鬼ヶ島)
第3章 退治される鬼―中世(豆まきのはじまり
女性と鬼
鬼退治の物語)
第4章 現実と想像の狭間で―近世・近代(妖怪化する鬼
大衆新聞の娯楽
侵略・差別・迫害)
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