消えたい ─虐待された人の生き方から知る心の幸せ
自殺欲求を「消えたい」と表現する、虐者された人々。彼らの育ち方、その後の人生、苦しみを丁寧にたどり、人間の幸せの根源を考える。解説_橋本治
精神科医である著者は、虐待された人たちが「死にたい」ではなく「消えたい」という表現で「自殺への欲求」を語ることに気付いた。そこには、前提となる「生きたい」がないのだ。彼らがどのように育ち、生き延びて、どんな苦しみを背負っているのかを、丁寧にたどる。そして、立ち直っていった経緯を明らかにする中で、人間の存在の不思議さと、幸せの意味に迫る。
第1章 もうこの世から消えてしまいたい(光の首飾り
被虐待児の人生から教えてもらったこと)
第2章 異なる世界で生きる人々(私には日にちがない
私には過去がない、それを返してほしい
社会的存在ができあがる仕組み
異邦人―“社会的存在になれなかった被虐待者”
この地上には異なる二つの世界がある―心理カプセルの内と外)
第3章 児童虐待とはどういうものか(虐待かどうかの、二つの判定基準
虐待の継続性と異常性―虐待判定その1
虐待は愛着関係を作れない母親のもとで起こる―親の心理状態の評価)
第4章 回復―一緒の世界でみんなと手をつなぐ(発達障害と誤診された被虐児、浩樹君の回復
生きる義務感を相対化する
存在の不確かさゆえに効かない精神療法
人からもらう愛情、人に与える愛情を取り戻す
子どもから教えてもらう愛情)
第5章 心はさらに広い世界へ(社会的存在の範囲を生き直す
二つの存在を同時に生きる
二つの存在を生きる)
2019.10.19 YUKI
衝撃的だった。自分が被虐待児だと気付いてからサバイブしてきた方法が間違っていなかったとわかったのと同時に、虐待されなかった人たちと自分がどう違うのかわからなかった部分がよくわかる本。
自分がサバイブできたのは、少なくとも食事に関しては栄養士というプライドからか母が力を入れていたせいもあるのだろうと感じた。また、多数の臨床例の被虐の悪しき影響から抜け出た「もう一人の自分」に強い感謝を感じ、カウンセリングにまでたどり着けずに「消えた」であろう被虐待児、いまだ不調の理由を知らず苦しむ被虐待児への哀しみを感じた。
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