現代文学に決定的な衝撃を与え、いまなお〈来るべき作家〉であり続けるカフカ─ 残された作品の中の重要な中短篇をほぼ網羅し、その文学宇宙の謎と魅惑がうかがえる三つのテーマ(「時空/認知」「運動/拘束」「異形/寓意」)に沿って編集、それぞれごく短い掌篇から、比較的長い中篇へと順を追って配置、三人の最高の訳者(平野嘉彦・柴田翔・浅井健二郎)による新訳でお届けする、まったく新しいカフカ選集です。
なかには、日記やノートに残されていた未完の小説、あるいは断章などの短いテクストも含まれていて、カフカのテクストの核ともいえる何かをかいま見させてくれます。

第3巻、収録作品は
あるアカデミーへの報告 歌姫ヨゼフィーヌ、あるいは鼠の族 いかに私の生活は変化したことか 変身 等、19篇を収録。

カフカセレクション 全巻 目次

それは、どの地域にあるのだろうか  隣り村  遠くに町がみえる
立ち去る、立ち去るのだ  ここから立ち去る、とにかくここから立ち去るのだ!  路地の窓
三軒の家がたがいに接していて  ある注釈  「この道でいいのかね?」と、私は
私は、馬を馬屋から引いてくるように命じた  山中への遠足
おそらく私は、もっと早くから  「おれが舵手ではないのか?」と、私は叫んだ
走り過ぎていく人たち  突然の散歩  ポセイドンは、自分の仕事机の前にすわって
私たちは二人して、滑りやすい地面の上を  街中で、たえまなく工事がおこなわれている
バベルの塔の建設にあたっては、当初は  数人の人たちがやってきて
隊商宿では、およそ眠ることなど  朝は早くからこの日暮れまで
モンデリー弁護士の突然の死に関して  掟の問題について
私に弁護人がいたのかどうか、それはきわめて不確かなことだった
しばしば必要になる部隊の徴募  われわれの小さな町は、およそ国境沿いにあるとは
村医者  村での誘惑  カルダ鉄道の思い出  万里の長城が築かれたとき
村の学校教師  エードゥアルト・ラバーンは、廊下を抜けて  あるたたかいの記

私は最初の門番の前を  インディアンになりたいという願い  アレクサンダー大王
列車の車室に座って  夢幻騎行  公園の藪  牢獄の一室ではないのだが
アマチュア競馬の騎手諸氏のための考察  珍しくもない出来事  天井桟敷にて
白馬が最初に姿を見せたのは  中庭への戸を叩く  セイレーンたちの沈黙  商人
ある夢  死者たちの家へ客に呼ばれ  石炭バケツの騎手  肉屋の兄妹  最初の悩み
街道の子どもたち  狩人グラフス  ある断食芸人の話  判決——ある物語
流刑地にて  巣造り  ブレッシアでの懸賞飛行

「ああ」、と鼠が言った  猫が鼠をつかまえたのだった  それは大きな尻尾を
かわいい蛇よ  私はもともと蛇に  それはハゲタカで
私はここにはっきり表明しておくが  新しい弁護士  雑種
「奇妙だ!」とその犬は言って  家父の心配  夕方帰宅してみると  一枚の古文書
ジャッカルとアラビア人  その村はターミュルといった  あるアカデミーへの報告
歌姫ヨゼフィーヌ、あるいは鼠の族  いかに私の生活は変化したことか  変身