松田哲夫の王様のブランチ出版情報ニュース

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.11.09)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.11.8)

『茗荷谷の猫』と「話題の勉強本」


<総合ランキング>(有隣堂書店全店調べ・10/26~11/1)
① 東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)
② 東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)
③ 竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)
④ 東野圭吾『流星の絆』(講談社)
⑤ 大沢在昌『狼花 新宿鮫 9』(光文社)
⑥ 神谷秀樹『強欲資本主義ウォール街の自爆』(文藝春秋)
⑦ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑧ フィリップ・C・マグロー『史上最強の人生戦略マニュアル』(きこ書房)
⑨ 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
⑩ 太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)


<特集・話題の勉強本>
①太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)



②竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)



①東大合格者の“ノート術”を紹介し、ていねいに解説した、まったく新しい視点の参考書。多数の「東大ノート」を原寸大で公開して、授業ノートを効果的にとる技術を徹底的に解剖しています。ブランチが赤門前で現役東大生を直撃、本当に「東大ノート」は美しいのかを検証します。インタビューでは、本書に登場するノートの持ち主数名と、著者の太田さんに「7つの法則」を教えていただき、リポーターが持参した授業ノートを東大合格生に評価していただきます。さらに、東大合格生対リポーターのノート取り対決も実施しました。
②1の努力で10の成果をあげるという日本一の学習法を初公開。何を勉強したらいいのかわからない人は、座標軸に書いてみると、面白いほど今の自分がわかるのです。将来が見えない、今の仕事がつまらないという、悩める若い女性たちへのアドバイスをいただくとともに、竹中式メモ術の極意を教えていただきました。


<今週の松田チョイス>
◎木内昇『茗荷谷の猫』(平凡社)



松田 なんとも不思議な味わいの連作小説、木内昇さんの『茗荷谷の猫』です。
 『茗荷谷の猫』木内昇。主人公は、幕末の江戸から昭和の東京を生きた市井の人々。江戸の染井で新種の桜作りに心を傾ける植木職人。大正時代、茗荷谷に構えた住まいで売れない絵を描き続ける主婦。つつましく暮らす彼らを襲った怪奇な出来事の正体とは。異なる時代を生きた人々の夢と挫折が、時を超えて交錯する不思議な連作物語集。>
松田 この本の中には九つのお話が入っているんですけども、どれも東京のいろんな「町」を舞台にしてまして、そこで何かの「怪異」とか「不思議なこと」とか、ちょっと恐ろしげなことが起きるんですが、でも、そんなにおどろおどろしいものじゃないんですね。全体に、ふんわりとした幻想みたいなものが漂っている、不思議な味わいの連作集ですよね。
谷原 ぼくも読ませていただいたんですけども、江戸時代から昭和の30年代まで描いているんですが、なんか一つ不思議なものでも、おどろおどろしく見えるものも、それを客観的なところから見たら不思議でも何でもない、ありふれたことだっていうことで、その両方の視点で描いているのが、とても素敵だなと思いました。
松田 そうですね。なんか、一つ一つのお話そのものが幽霊みたいな感じで、摑まえようとするとスルッと逃げていくという感じで……。それでいて、じゃあ、バラバラなお話かというと、その後の話を読むと、前のことがわかったりするという、不思議な構造になっているんですね。だから、いろんな味わい方ができる、ちょっと独特の小説集だなあって思いました。本好き、小説好きの人が読むと、すごく楽しめる作品だと思いますね。
谷原 後半に行けば行くほど、味わいが増していきますからね。不思議です。読まないと、なかなか実感しにくいところがあるんですけども、ぜひ本屋でチェックしてみてください。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.11.02)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.11.1)

『聖女の救済』と「蜷川実花『Ninagawa Woman』」


<総合ランキング> (三省堂書店全店調べ・10/20~10/26)
① 東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)
② 東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)
③ 竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)
④ フィリップ・C.マグロー『史上最強の人生戦略マニュアル』(きこ書房)
⑤ 東野圭吾『流星の絆』(講談社)
⑥ 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
⑦ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑧ 福岡伸一『できそこないの男たち』(光文社)
⑨ 伊坂幸太郎『モダンタイムス』(講談社)
⑩ 神谷秀樹『強欲資本主義ウォール街の自爆』(文藝春秋)


<特集・蜷川実花『Ninagawa Woman』>
◎蜷川実花『Ninagawa Woman』(講談社)



今、日本で一番写真集が売れるというフォトグラファー蜷川実花(36)。2000年、『Pink Rose Suite』で“写真界の芥川賞”木村伊兵衛賞受賞。現在までに30冊を超す写真集を発表し、『Baby Blue Sky』、『永遠の花』、『蜷川妄想劇場』など数々のヒット作を発表。昨年は、映画「さくらん」で監督デビュー。若手の写真家が演出したにもかかわらず、国内外で高い評価を得た。蜷川作品の共通点は「極彩色」。“ニナガワカラー”と称される色の鮮やかさは、彼女の作品の最大の特徴。カラフルでグラフィカルな作品が目立つが、撮影の時はCG合成も特別な照明を作りこむことも、滅多にしないという。最新写真集『Ninagawa Woman』の撮影中のフォトスタジオにお邪魔して、北乃きいさん撮影の裏側を見学&蜷川さん独占インタビュー。極彩色の背景セットを作る様子、蜷川さんの写真を撮るときのコツやポリシーを伺い、また出産(去年12月11日に長男を出産)は作品づくりに影響を与えたか、などを話してもらいました。
▽最新写真集『Ninagawa Woman』(10月27日発売)
蜷川さんが14年間のキャリアを通して撮影してきた、現在最も活躍している女性100人のポートレイト集。(SHIHO、土屋アンナ、堀北真希、長澤まさみ、引田天功、沢尻エリカ、安室奈美恵、中谷美紀、北乃きい、吉田美和など)
▽蜷川実花展「地上の花、天上の色」東京オペラシティーアートギャラリー(11月1日から)
松田 ちょうど展覧会が今日から始まるんです、オペラシティで。すごく大きい会場なんですけども、その会場のスケールに負けないパワフルな展示なんですね。色が鮮やかですから、色彩のシャワーを浴びてるような感じで、別世界に入っていくようなワクワク気分があって……。人物もいいんですけども、風景とか花とか金魚とか、スケールの大きい写真ですね。


<今週の松田チョイス>
◎東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)



松田 映画にドラマに大人気の東野圭吾さんの最新ミステリー『聖女の救済』です。
N 東野圭吾のミステリー小説『聖女の救済』。大人気ガリレオシリーズの最新刊。ガリレオこと湯川が迎えた新たな敵は「女」。男が自宅で毒殺された時、容疑者である妻には鉄壁のアリバイがあった。彼女が仕掛けた驚愕のトリックとは。「理論的には考えられるが、現実的にはありえない。……これは完全犯罪だ」。果たして湯川はトリックを証明することができるのか。>
松田 人気の<ガリレオ・シリーズ>が2冊読めるという、東野ファンには楽しみですね。この『聖女の救済』というのは、『容疑者Xの献身』に続いて湯川=ガリレオが活躍する話なんです。『容疑者Xの献身』は、トリックやどんでん返し、人間ドラマといろんな要素があったんですが、この新作ではトリックが想像を絶すると言えば想像を絶する、こういうことがありか、と思わされるぐらい驚かされるんですが、それにからんでいく語り口というか人物像も面白いんで、ついつい引き込まれて読んでしまいますね。それから、テレビドラマや映画のイメージがありますから、福山雅治さんとか柴咲コウさんの姿が立ち上がってきて、それはそれでまた違う楽しみもあるんです。
優香 ありますね。わたしも読みました。やっぱり、飽きさせないなあっていう感じがありました。あと、湯川準教授の人間味のあるところが、今回はたくさん見れるかな。なかなかトリックが解けない模様も、なんかいいなあ、そこが面白いなあって。
松田 おたおたしているところが可愛らしいんですよね。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.10.26)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.10.25)

『生きる』と「真藤順丈『地図男』」


<総合ランキング> (三省堂書店全店調べ・10/13~10/19)
①水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
②伊坂幸太郎『モダンタイムス』(講談社)
③東野圭吾『流星の絆』(講談社)
④Jamais Jamais『O型自分の説明書』(文芸社)
⑤フィリップ・C.マグロー『史上最強の人生戦略マニュアル』(きこ書房)
⑥瀬尾幸子『もう一軒おつまみ横丁』(池田書店)
⑦竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)
⑧姜尚中『悩む力』(集英社)
⑨副島隆彦『恐慌前夜』(祥伝社)
⑩太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)


<特集・真藤順丈『地図男』>
◎真藤順丈『地図男』(メディアファクトリー)



仕事中の“俺”は、ある日、大判の関東地域地図帖を小脇に抱えた奇妙な漂浪者に遭遇する。地図帖にはびっしりと、男の紡ぎだした土地ごとの物語が書き込まれていた。千葉県北部を旅する天才幼児の物語。東京二十三区の区章をめぐる蠢動と闘い、奥多摩で悲しい運命に翻弄される少年少女など――地図男が生み出す物語に没入した“俺”は、次第にそこに秘められた謎の真相に迫っていく。今回は、この「地図男」でダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞した真藤さんにインタビューしました。
真藤順丈 /1977年、東京都生まれ。プロの小説家になる前は映画監督の助手をしていた。2008年、『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞。続いて、『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞を受賞、さらに、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、3つの異なる作品で新人賞を連続受賞した。さらに「東京ヴァンパイア・ファイナンス」でも第15回電撃小説大賞銀賞を受賞。
谷原 松田さん、いかがですか。
松田 真藤さんの作品というのは文体がポップで軽快なんですね、リズム感があって。だから、結構バイオレンスなシーンがあったりグロテスクな描写もあるんですが、だけど、そういうものも爽やかに読ましてくれちゃうんですね。そこに、地図へのこだわりのようなマニアックなものをのせて物語を作っていくんで、これからどういう物語を語りだしてくれるのか、楽しみな新人ですね。


<今週の松田チョイス>
◎谷川俊太郎 with friends 『生きる わたしたちの思い』(角川SSC)



松田 詩人の谷川俊太郎さんがネットの仲間たちと一緒に作りました『生きる わたしたちの思い』です。
N 昨年、ネット上で、ちょっとした『生きる』ムーヴメントが起こりました。詩人谷川俊太郎さんの名作「生きる」(「生きているということ/いま生きているということ/それはのどがかわくということ/木漏れ日がまぶしいということ/ふっと或るメロディを思い出すということ/くしゃみすること/あなたと手をつなぐこと(以下略)」)、この詩のはじめの2行「生きているということ/いま生きているということ」、この後に続く言葉を一般の人々が考え、ネットのコミュニティーに次々に投稿したのでした。半年の間に投稿された詩はおよそ2000件。それらの膨大な投稿が再編集され、1冊の本になりました。あなたにとって「生きる」とは何ですか?>
松田 谷川さんは日本を代表する大詩人なんですが、誰にでもわかるやさしい言葉で、人間とか宇宙とかいった大きくて深いテーマを表現してきた人なんですね。この「生きる」という詩もそういう詩なんです。こういうシンプルな言葉で問いかけてくるので、そこに場所ができるんですね。その場所にみんなが集まってきて、それぞれの言葉で、自分の言葉で表現していく。それがズーッとつながっていって、連詩みたいなかたちで、これ全体が、いろんな人たちの言葉でできている詩集になっているんですね。ぼくが気に入っているのは「クレヨンの先が丸くなること」で、絵を描いていけば丸くなっていくじゃないですか、それと人間の成長みたいなものが、丸くなっていくことがよく出ていますね。それと、わりにドキッとしたのが「ふとした瞬間、わたしって死ぬんだなあって思うこと」で。サラッと言っている分だけ重いなあって思いましたね。そういう風に、普通の言葉でいろんなことを考えさせられる、すごく素敵な一冊でした。
谷原 慶太とか、「生きる、生きていること」という詩を考えると、どう思います。
慶太 ふだんはあまり意識しないんですけども、走って疲れたりなんかすると、「ああ、やっぱり生きてるなあ」っていうのがありますね。
谷原 若いなあ。元気だなあ。翔太は。
翔太 ぼくは、朝起きて、今日一日はじまるときとか、終わったときとか、その区切りに「生きてる」って思いますね。
谷原 日々、そのように思うの。
翔太 日々、思うわけではないんですが。
優香 大人ですねえ。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.10.18)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.10.18)

『おばさん未満』と「ハロルド作石『BECK』」


<コミックランキング> (三省堂書店全店調べ・10/6~10/13)
①富樫義博『HUNTER×HUNTER』26巻(集英社)
②久保帯人『BLEACH』35巻(集英社)
③吉田秋生『海街Diary』2巻(真昼の月)(小学館)
④高橋ヒロシ『WORST』21巻(秋田書店)
⑤樋野まつり『ヴァンパイア騎士』8巻(白泉社)
⑥今市子『百鬼夜行抄』17巻(朝日新聞社)
⑦藤崎竜『屍鬼』3巻(集英社)
⑧矢沢あい『NANA』20巻(集英社)
⑨原哲夫『蒼天の拳』19巻(新潮社)
⑩浅田弘幸『テガミバチ』5巻(集英社)
谷原 さて、松田さん。コミック・ランキング3位の『海街Diary』ですが、もう2巻が出たんですね。
松田 でましたね。それと、『海街Diary』に出てくる鎌倉のスポットを紹介するガイドブックも出たんですね。
谷原 もう出たんですか。2巻目で、早いですね。
松田 読んでいると、鎌倉に行ってみたくなるんで、たぶんそういうニーズが盛り上がってきたんでしょう。
谷原 たしかに、「極楽寺に住んでいる」といっても、極楽寺ってどこなんだって思いますよね。実は、もう2巻読んだんですけども、田舎から出てきて異母兄弟と暮らすすずちゃんが、どうなるのか楽しみにしていたんですが、とっても面白かったです。


<特集・ハロルド作石『BECK』>
◎ハロルド作石『BECK』1~34巻(講談社)



誰にでもいつか“目覚め”の刻が来る……。それは、いつまでも変わらないはずだった──。あいつに出会うまでは……。穏やかで退屈な中学生活、平凡な毎日に不安を持っていた、主人公の田中幸雄は謎の人物・南竜介との出会いによって音楽の世界に入り込むことになる。『BECK』は、1999年から2008年まで「月刊少年マガジン」(講談社)に連載された。2002年に第26回講談社漫画賞少年部門を受賞している。『ゴリラーマン』、『ストッパー毒島』で知られる作者が手がける音楽漫画。作者にとって初の少年向け漫画でもある。KCDXサイズで2008年6月現在で33巻まで発売され、累計発行部数は1200万部を突破している。2008年6月に連載が終了し、8月17日に最終巻34巻が発売された。連載を終えたハロルド作石さんにインタビューして、連載を終えた、今の気持ちや連載中のエピソードなどを伺ってきました。
松田 ハロルド作石さんて、『ストッパー毒島』もそうだったんですが、ライブ感がすごいんですね。スポーツの場面もそうだったんですが、ライブ会場の迫真力のある臨場感みたいなものが迫ってくるんです。(VTRを見ていて)こういう風に描いているんだって、なるほどと思いましたね。


<今週の松田チョイス>
◎酒井順子『おばさん未満』(集英社)



松田 歯切れのいいエッセイでおなじみ、酒井順子さんの『おばさん未満』です。
N 『負け犬の遠吠え』で一大ムーブメントを巻き起こした酒井順子さん。最新エッセイ『おばさん未満』で、自らも仲間入りを果たした40代女子の生態を鋭く分析。目出度くも“成長”と思っていたことが、“老化”だったというショッキングな気付きからはじまる内容は、笑うに笑えない老化の実態が満載。でも、読むほどに、歳を重ねるということがだんだん愛しくなっていく不思議な感覚を、ぜひ味わってください。アラサー及びアラフォー女子必読の1冊です。>
はしの 勇気を出して、私が読みました、『おばさん未満』。まあ、「わかるー」というところもあれば、まだちょっと経験してないなっていう部分もあったんですけど、一番私が「わかるー」って思ったのは、酒井さんが30代半ばの時に、お寿司屋さんに行って、好きなだけ食べたら胃もたれを起こしたと。でも、よく考えてみたら、私も、お寿司屋さんに行って、ちょっと贅沢ですけど、「大トロはいいや」と思ったり、焼き肉屋さんに行ってカルビを頼まなくなってるんですよ。
谷原 前は食べてた?
はしの 前はガンガン食べてたんですけど。どうですか。
谷原 ぼくはですね、正直、トロもウニもカルビもまったく受け付けません。光り物の脂すらだめ。いま、白身ばっかり。
優香 タン塩は?
谷原 タン塩はぎりぎりいいんだけど。
はしの 塩が救ってくれてますよね。
谷原 あと、それにネギがついてないときついんです。
松田 食べ物の話もあるんですけども。これ読んでて、オジサン目線で読むと面白かったんです。女性って、今、食のことがありましたが、ファッションやメイクもあるし、人間関係とか言葉遣いとか、細かく年齢によって、また、結婚しているのか、子供がいるか、働いているかとか、いろんなステージがわかれるんですね。で、その辺で、みなさん細かく気を遣っているんだなということがよくわかるし、まあ「女性は大変だな」と思うと同時に、こういう風に気を遣っているから、みなさん輝いていられるんでしょうね。
谷原 若々しく、美しく。
松田 男の方は、ダメだったらあきらめて「オジサンになっちまえ」みたいな……。
谷原 そうですね、そういうところありますね。女性を理解するために、男性諸君、買ってみてはいかがでしょうか。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.10.12)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.10.11)

『ボックス!』と「「MEN'S NON-NO」専属新人モデル密着」


<総合ランキング> (有隣堂書店全店調べ・9/28~10/4)
① Jamais Jamais『O型自分の説明書』(文芸社)
② よしたに『理系の人々』(中経出版)
③ 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
④ Jamais Jamais『A型自分の説明書』(文芸社)
⑤ 瀬尾幸子『もう一軒おつまみ横丁』(池田書店)
⑥ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑦ Jamais Jamais『B型自分の説明書』(文芸社)
⑧ 岩崎啓子『早わかり!カロリーナビ』(永岡書店)
⑨ 松本ぷりっつ『うちの3姉妹 8』(主婦の友社)
⑩ 副島隆彦『恐慌前夜』(祥伝社)
                                           
<特集・「MEN'S NON-NO」専属新人モデル密着>
1986年に女性ファッション誌「non-no」の男性版として創刊された男性ファッション誌「MEN'S NON-NO」。阿部寛、田辺誠一、大沢たかお、伊勢谷友介などを輩出し、我らが谷原さんも「MEN'S NON-NO」の出身。そんな「MEN'S NON-NO」の2008年専属モデル2人がオーディションによって決定! 10月10日発売の11月号でデビュー。今回、その新人モデル2人の11月号の掲載予定の写真撮影に密着してきました。前日の衣装合わせから、撮影当日の様子、初めてのヘアメイクにポージングなど何もかもが初めてで緊張気味の2人に密着。もちろんテレビの取材も初めてです。写真撮影を見学させて頂きつつ、インタビューもしてきました。


<今週の松田チョイス>
◎百田尚樹『ボックス!』(太田出版)



松田 素晴らしい感動を与えてくれる、まっすぐな青春スポーツ小説、百田尚樹さんの『ボックス!』です。
N アマチュア・ボクシングの世界を描いた感動の青春小説『ボックス!』。高校ボクシング部で天才と言われる鏑矢と元いじめられっ子の木樽。対照的な二人の友情に結ばれた青春を描く。立ちはだかるライバルたちとの激闘と挫折、そして栄光。さまざまな経験を経て二人が掴み取ったものとは。>
優香 はい。わたし、この『ボックス!』読ませていただきまして、ものすごく面白かったです。もう一気に、本当に一気に読んでしまいました。その日の夜、眠れなくなりました、興奮して。
谷原 一晩で読んだの。
優香 一晩で読みました、一気に。主人公の二人は対照的なんですが、その成長ぶりも、どんどん強くなっていく感じも、とっても面白いです。その周りにいる人たちも、みんな応援したくなる。みんな好きになるという登場人物ばっかりで。男の友情、素晴らしいですよね。
松田 はい。600ページ近くあるんだけど、本当に無駄なところがないんですよ。贅肉を削ぎ落とした、最強のアスリートみたいな小説で、グイグイひきこまれるんですけども。特にこれが面白いのは、ボクシングのことがすごくよくわかるんです。ルールとか練習方法とか、いろんなテクニックとか、だから、だんだん読んでいくと、自分がボクシングをやっているような、リングにのっているような気持ちになっていって。
優香 そう。
松田 この世界の中に入れちゃう。
優香 入っていっちゃいますね。ジャブのやり方とかもちゃんと細かく書いてあるんで、思わずやってしまいました、自分で、読みながら。
松田 本当に、一人一人の熱い思いが重なっていって、恋愛感情もあって、満足できるし、爽快な感動スポーツ小説ですので、是非お読みいただきたいですね。
優香 はい、面白かったです。
谷原 スポーツの秋にふさわしい1冊ということで、皆さんも是非ジャブして下さい。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.10.04)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.10.4)

『きのうの世界』と「箭内道彦『サラリーマン合気道』」


<総合ランキング> (三省堂書店全店調べ・9/22~9/28)
① Jamais Jamais『O型自分の説明書』(文芸社)
② 監修:岡田斗司夫『カロリー・書くだけhappyダイエット』(学習研究社)
③ 瀬尾幸子『もう一軒おつまみ横丁』(池田書店)
④ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑤ 茂木健一郎『脳を活かす仕事術』(PHP研究所)
⑥ Jamais Jamais『A型自分の説明書』(文芸社)
⑦ 副島隆彦『恐慌前夜』(祥伝社)
⑧ Jamais Jamais『B型自分の説明書』(文芸社)
⑨ 監修:板木利隆『からだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)
⑩ 金本知憲『覚悟のすすめ』(角川書店)


<特集・箭内道彦『サラリーマン合気道』>
◎箭内道彦『サラリーマン合気道』(幻冬舎)



アイディアは書き留めない、積極的に緊張する、相手の力を利用すれば実力以上の仕事ができる。気鋭のクリエイティブディレクターが挫折と失敗から編み出した45の仕事術。自分には個性やこだわりがないという人にこそ役立つ、具体的なアドバイス。
箭内道彦 1964年生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒。博報堂を経て、2003年、「風とロック」設立。CFプランニング、グラフィックデザイン、プロモーション等の広告キャンペーンから、ミュージシャンのアートワーク、ショートフィルム、商品企画、空間演出、イベントまでジャンルを超えて幅広く話題のクリエイションを手掛ける。05年、フリーペーパー「月刊風とロック」創刊、08年4月からNHK「トップランナー」のMCを務める。


<今週の松田チョイス>
◎恩田陸『きのうの世界』(講談社)



松田 1作ごとに新しい世界を繰り広げて、僕たちを楽しませてくれている恩田陸さんの最新長編小説『きのうの世界』です。
N 恩田陸の最新長編小説『きのうの世界』。舞台は、塔と水路がある「M町」。その「水無月橋」で見つかった死体。一年前に失踪したはずの男は、なぜここで死亡したのか? そして、その町に隠された大きな「謎」とは? 「世の中には、掘り返さないほうがいい場所、手を触れないほうがいい場所というのがあるのかもしれない」。「これは私の集大成」と作者が語るエンタテインメント大作。>
谷原 実は、ぼくも読ませていただいて、まだ途中なんですが、ぼくは、どちらかというと恩田さんの短編集を読むことが多かったんですけども、今回のは一つのお話になっているんですね。さすがだなあ、と思うのは、恩田さんの独特な世界観というんですか、一見、普通なんですけども、何か現実の世界とは、同じようなコピーが、ずれたものが入れ替わっているといいますかね。それが、読み進んでいくうちに、不思議な世界に巻き込まれていく感じがして……。
松田 そうですね。本当に、キラキラと色鮮やかな覗きからくりを見ているような感じで、リアルなんだけど、ちょっとずれている、不思議な感じがあって。で、だんだん読んでいくと、この「M町」という町には大きな「謎」が隠されているらしい、それから、もう一つ殺人の「謎」があって、その「謎」と「謎」が絡まり合っていくんですね。それを、どんどんどんどん解きほぐしていくと、壮大なクライマックスが待っているんです。なんだか、ものすごくスケールの大きなジグソーパズルをやっているような感じで、最後、ピタッとはまった時に何が起こるか、というのが楽しみなんですね。
谷原 ぼくは、まだ途中なんで、それが楽しみですね。本当に文章力のある方ですよね。
松田 そうですね。一人一人の登場人物、一つ一つの風景がものすごく鮮やかに描かれているんで、小さい部分だけでも、ショートストーリーとして独立して楽しめるという感じですね。
谷原 形式としてはオムニバスとして進めていますよね、バラバラに。
松田 そうですね。
谷原 気になった方は、是非、チェックしてみてください。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.09.27)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.9.27)

『センネン画報』と「池上永一『テンペスト』」


<小説ランキング> (リブロ池袋本店調べ・9/15~9/21)
① 池上永一『テンペスト(上・下)』(角川書店)
② 和田竜『のぼうの城』(小学館)
③ 湊かなえ『告白』(双葉社)
④ 宮部みゆき『おそろし』(角川書店)
⑤ 角田光代『三月の招待状』(集英社)
⑥ 恩田陸『きのうの世界』(講談社)
⑦ 東野圭吾『流星の絆』(講談社)
⑧ 柳広司『ジョーカー・ゲーム』(角川書店)
⑨ 池澤夏樹『セーヌの川辺』(集英社)
⑩ 宮城谷昌光『三国志』第7巻(文藝春秋)


<特集・池上永一『テンペスト』>
◎池上永一『テンペスト(上・下)』(角川書店)



「作家の圧倒的博識と筆力にただただ唖然、翻弄された。読み終わっても、映像が次々に浮かんでくる!」(堤幸彦さん)、「こんなに恋を応援したいと思ったのははじめてだ。私も登場人物と共に生きているかのようにワクワクした。」(三浦しをんさん)などなど、いま、本好きの間で話題を独占している小説。それが、19世紀末の琉球王朝を舞台に、男装の美少女が歴史を変えてゆく、王朝ファンタジー『テンペスト』。著者は、前作の『シャングリ・ラ』で幅広い層からの支持を集めた池上永一さん。「見せ場は150回!」と語る本作について、舞台となった沖縄・首里城でインタビューしました。 ひときわ輝く主人公をはじめとする魅力的な登場人物たち、さらに疾風怒濤の展開で読者を魅了するストーリーの秘密に迫りました。
谷原 (白石)みきちゃんも「漫画のように読める」と言ってましたけども。松田さん……。
松田 とにかく、面白いことはうけおいですけども、感じとしては、「ベルサイユのばら」や「チャングムの誓い」みたいな、ものすごく語り口のテンポがいいですし、主人公はとても魅力的ですし、次々と思いがけない事が起こってきて、本当にサービス満点のエンタテインメントという感じですね。


<今週の松田チョイス>
◎今日マチ子『センネン画報』(太田出版)



松田 日常の中のちょっとした瞬間を鮮やかに切り取る1ページ漫画、今日マチ子さんの『センネン画報』です。
N 「たとえば輪ゴム、のびたぶんだけぶつかって、ときどき行方不明」柔らかな線と淡い色彩で、日々の微妙な気持ちの移ろいをリアルに描き出す「叙情マンガ家」今日マチ子さん。ブログで、ほぼ毎日、1ページずつ発表していた「センネン画報」が単行本化されました。文化庁のメディア芸術祭審査委員会推薦作品も2年連続受賞した話題作。>
優香 私も見まして、本当にブルーの色がきれいなのと、風とか動きを常に感じるなという印象でした。私が好きなのは、「三脚」これですね。
松田 可愛いですよね。
優香 可愛いんですよ、すごく。(カメラが)彼女の頭に三脚のように載って。それと、「巻き直し」という、このマフラー。彼と、最初は違う巻き方してたんですけども、隣を見たら、急いで巻き直しちゃうみたいな、可愛い心がわかるわかるみたいな感じですね。
松田 そうですね。女子高校生の日常の中の瞬間、「気配」とか「気分」とかを見事に描き切っているんですね。絵だけで、セリフもないし、文字もほとんどない。それで1ページでおさまっているんで、何となく絵で見る俳句みたいな気もするし、ある意味では、非常にいいスナップショットを集めた写真集みたいな感じで、本当に独特のテイストのある作品ですね。
優香 わかります。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.09.21)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.9.20)

『海獣の子供』と「間瀬元朗『イキガミ』」


<コミックランキング> (三省堂書店全店調べ・9/8~9/14)
① 矢沢あい『NANA―ナナ―』20巻(集英社)
② 尾田栄一郎『One piece ワンピース』51巻(集英社)
③ 葉鳥ビスコ『桜蘭高校ホスト部』13巻(白泉社)
④ 北条司『エンジェル・ハート』27巻(新潮社)
⑤ 星野桂『D.Gray―man』16巻(集英社)
                                             
<特集・間瀬元朗『イキガミ』>
◎間瀬元朗『イキガミ』1~5巻(小学館)



この国には、国家繁栄維持法という名の法律がある。そこでは、多くの人間を生かし、国を繁栄させるため、選ばれた若者をあの世へ逝かす紙「逝紙(イキガミ)」が配られている――。突然届けられる死亡予告証「逝紙(イキガミ)」。それを受け取った者に残された時間はわずか24時間。前代未聞の“生きるドラマ”が、いま始まる! 松田翔太さん主演で映画化され、9月27日に公開される、今、一番泣ける物語です。今回、映画化を記念して著者の間瀬元朗さんにインタビューします。「イキガミ」というシステムをどこから発想したのか、物語の今後の展開や映画化されることなどについてお伺いしました。
松田 「イキガミ」が来るという恐怖ですね。それと、「イキガミ」という制度を作る権力に対する恐怖、二重の恐怖がギリギリと迫ってくるんで、本当に、誰でも読むと、「自分に『イキガミ』が来たらどうするんだろう」って、考えさせられますよね。


<今週の松田チョイス>
◎五十嵐大介『海獣の子供』1~3巻(小学館)



松田 壮大なスケールの海洋冒険ファンタジー・コミック、五十嵐大介さんの『海獣の子供』です。
N 自然の描写に定評のある五十嵐大介が描くファンタジー『海獣の子供』。ある夏休み――少女・琉花が出会ったのは、ジュゴンに育てられたという少年「海」。大きな流れ星、光となって消える魚……彼に出会ってから次々と起こる不思議な出来事。一方、世界各地でも海洋にまつわる異変が相次いで起こる……。港町と水族館を舞台に繰り広げられる、五感をふるわす少年少女海洋冒険コミック。>
小林 はい、こちらをご覧下さい。今回はですね、『海獣の子供』の原画の複製をお借りしてきました。
優香 すごーい。細かいですよね。美しい。
翔太 引き込まれますね。
松田 とにかく絵が素晴らしいんですね。自然の絵が素晴らしくて、海原の広がりとか海流のうねりとか、水しぶきとかの繊細なきらめきとか、本当に絵だけでも見とれてしまうような。本当に、大自然が主役だなっていう気がするコミックですね。
谷原 そうですね。人間って、一番高い山は登れていても、一番深い海って潜れていないんですよね。地球の三分の二は海で、まだまだ未開の地が海の中にはある。ぼくも波乗りが好きで海によく行ったりするんですけども、海の中には何が潜んでいるのかわからないという恐怖があったりして。
松田 そういう大自然を背景にして、登場人物たちが個性的で、静かなんだけど大自然と絡み合いながら、謎に迫っていくんですね。本当にスケールの大きいファンタジーで、これからどうなっていくんだろうって、ワクワクしますよね。
谷原 ファンタジーなんだけどリアリティがあるのは、海のもつ不思議さみたいなものが一役買っているのかなと思います。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.09.14)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.9.13)

『告白』と「「料理本」特集第2弾!」


<総合ランキング> (有隣堂書店全店調べ・8/31~9/6)
① Jamais Jamais『O型自分の説明書』(文芸社)
② 『ARASHI IS ALIVE!嵐5大ドームツアー写真集』(集英社)
③ 宮崎駿『崖の上のポニョ』(徳間書店)
④ 西尾維新『偽物語(上)』(講談社)
⑤ Jamais Jamais『A型自分の説明書』(文芸社)
⑥ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑦ Jamais Jamais『B型自分の説明書』(文芸社)
⑧ 編集工房桃庵『おつまみ横丁』(池田書店)
⑨ 森博嗣『目薬αで殺菌します』(講談社)
⑩ 細野真宏『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身につく本』(小学館)
                                        
<「料理本」特集第2弾!>
現在35万部突破の『おつまみ横丁』に始まり、いま本の世界で熱いのが「料理本」。ブランチでも7月に特集し大反響でした。その後、さらに新たな人気本が続々登場しているんです。今回は、今最も売れている本から、これから発売予定の注目作まで、特徴ある3冊をご紹介します!


◎編集工房桃庵『もう一軒 おつまみ横丁』(池田書店) 9月18日発売予定
この本をきっかけで厨房に入るようになったお父さん多数。そんな料理経験の少ない男性陣を中心に人気の本の第2弾は、大阪・東京の人気居酒屋を精力的に取材。300以上のレシピの中から美味しいものを厳選! 怒涛の185品が紹介されています。


◎板木利隆『からだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)



料理本の中でも今ブームなのが「野菜本」! その中で最も売れているのが、現在19万部突破の『野菜の便利帳』。そこには、たっぷりの野菜を上手に食べるコツが満載されています。野菜の栄養価・旬・おいしい食べ方・正しい選び方・安全性など。一見すると、野菜の辞典のようです。


◎SHIORI『作ってあげたい 彼ごはん3』(宝島社)



テレビ・雑誌で活躍するフードコーディネーターSHIORIさん。アメブロ・料理ジャンルでダントツの人気を誇るブログとして注目を集め、シリーズ1、2だけで33万部を突破している人気シリーズ! SHIORIさんから「小さなキッチン、少ない道具で、パパッと作れてカレも喜ぶこと間違いなしの一品」を教えていただきました。


<今週の松田チョイス>
◎湊かなえ『告白』(双葉社)



松田 新人のデビュー作とは思えない、うまくて怖いサイコ・ミステリー、湊かなえさんの『告白』です。
 「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」……我が子を学校で亡くした女性教師の告白。教師がHRで明らかにした犯人とは。その真相は、「クラスメート」「犯人」「犯人の家族」らがモノローグ形式で語るうちに明らかになっていくのだが。高い評価を得て、小説推理新人賞に選ばれた話題作。>
谷原 優香ちゃん、はまったそうですが。
優香 はまりました。すごく面白かったです。語り口も面白いですし、会話があるわけじゃないですけども、会話しているような。全部、一人がしゃべるというか、圧倒的な文章力ですね。
松田 基本的にモノローグ、いろんな人の告白で綴られている。だから、その人が耳元でささやいてくれているような、真実を語りかけてくるような感じなんですけども。モノローグって、人間って、自分の都合のいいように歪めているじゃないですか。いろんな人の証言を重ね合わせていくと、みんなの歪みがどんどん見えてくるんですよ。
優香 そうなんですよ。本当に。
松田 だから、怖いんですよ。
優香 一つのものを、いろんな方向から見るので。普通、一人の気持ちしか解らないじゃないですか。こっち側からもわかるので、すごいですよね。
松田 そうですね。
谷原 ぼくは、ちょうど読み始めたところで、ちょうど第一章が終わったところなんですが。最初は女教師の独白から始まって、その教師であろうとする姿と、母親という姿と、女という姿が見えて、これはどうなるんだろうと、すごい楽しみで。でも、ミステリーだから、どんでん返しとかなんかあるんですか。
松田 ええ、途中までは、一つの事件をいろんな方から光を当てて深めていくんですね。ところが、最後にとんでもない大胆なラストが待っていましてね。怖いと言えば怖いです。
優香 怖いですね。はまります。
谷原 早く読みたいです。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2008.09.06)

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.9.6)

『さよなら渓谷』と「特集・姜尚中『悩む力』」


<夏の文庫フェア・ランキング>
夏の文庫フェアを行っている集英社・新潮社・角川書店の文庫売上げTOP5を紹介!
*新潮社*
①梨木香歩『西の魔女が死んだ』
②小林多喜二『蟹工船』
③重松清『きみの友だち』
④夏目漱石『こころ』
⑤太宰治『人間失格』
*角川書店*
①恩田陸『ユージニア』
②東野圭吾『さまよう刃』
③重松清『みぞれ』
④太宰治『人間失格』
⑤有川浩『空の中』
*集英社*
①村山由佳『夢のあとさき』
②下川香苗『花より男子ファイナル』
③石田衣良『愛がいない部屋』
④太宰治『人間失格』
⑤東野圭吾『黒笑小説』


谷原 松田さん、いま『人間失格』が売れている理由というのは?
松田 今年、三社ともカバーをリニューアルして、松山ケンイチさんとか、『Death Note』の小畑健さんとか、それが話題になって売れ始めているんです。それにしても、60年経った作品がこんなに売れるというのは、太宰の時代よりも、他人との関係がうまくいかないと思っている若い人たちがふえているんだろうという気がするんですね。太宰は、今年が没後60年で、来年が生誕100年で、いろんな意味で注目されているんですけども、『人間失格』以外にもおもしろい作品がたくさんあるんで、是非、もっともっと読んでほしいなと思いますね。


<特集・姜尚中『悩む力』>
◎姜尚中『悩む力』(集英社)



情報ネットワークや市場経済圏の拡大にともなう猛烈な変化に対して、多くの人々がストレスを感じている。格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己肯定もできず、楽観的にもなれず、スピリチュアルな世界にも逃げ込めない人たちは、どう生きれば良いのだろうか? 本書では、こうした苦しみを百年前に直視した夏目漱石とマックス・ウェーバーをヒントに、最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱する。現代を代表する政治学者の学識と経験が生んだ珠玉の一冊。今回、姜尚中さんの仕事場・東大の研究室でインタビューします。


<今週の松田チョイス>
◎吉田修一『さよなら渓谷』(新潮社)



松田 昨年、『悪人』で大きな文学賞を連続受賞した吉田修一さんのクライム・ストーリー『さよなら渓谷』です。
N 吉田修一が描く、犯罪者と被害者のドラマ『さよなら渓谷』。きっかけは隣の家で起こった幼児殺人事件だった。その偶然が、どこにでもいそうな若夫婦が抱えるとてつもない秘密を暴き出す。 15年もの長い歳月を経て、事件の“被害者”と“加害者”が夫婦を演じざるをえなくなった残酷すぎる理由とは――。「どこまでも不幸になるために、私たちは一緒にいなくちゃいけない……」。人の心に潜む「業」に迫った長編小説。>
松田 『悪人』もそうだったんですが、冒頭から、小説を読んでいるというよりも、現実の事件現場を目撃しているような、異様な緊迫感に包まれているお話なんですね。そして、そういうなかから、最初にスポットが当たっていた事件ではなくて、その隣の家の男と女にどうも謎があるということがだんだんわかってきて、ぐいぐいひきこまれるんですけども。その男女の驚くべき過去と現在がどんどんわかってくる。それで、ある犯罪にからんでいるんですけども、犯罪というものが、法律とか心情的な善悪判断だけでは割り切れないものが残るし、犯罪に関わった人たちは、被害者も加害者も、重い傷を抱えて生きていかなければいけないということも切々と伝わってくるんですよね。
優香 わたしも読みました。本当にすぐ読めるぐらいな薄さなんですけども、読み終わった後に、その何倍もの厚さがあったんじゃないかというぐらいの重さを感じて、ズシーッと重いものが心に乗っかりましてけども。あの、ラストまで行った時に、私が感じたものと松田さんが感じたものがずいぶん違うという……。
松田 本当に重くて暗い話なんですけども、ラストには、闇の底からひとすじの光が見えてきたっていう感じがしました。だから、犯罪小説というよりも、究極のラブストーリーだという気がしたんですね。
優香 そうですね、うんうん。男女で見方が違うと思いますよ。

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