楊海英
( よう・かいえい )楊 海英(よう・かいえい):1964年、南モンゴル・オルドス高原生まれ。静岡大学人文社会科学部教授。専攻は文化人類学。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。著書『モンゴル人の中国革命』『内モンゴル紛争』(ちくま新書)、『紅衛兵とモンゴル人大虐殺』(筑摩選書)、『墓標なき草原』(岩波現代文庫、司馬遼太郎賞)、『チベットに舞う日本刀』(文藝春秋、樫山純三賞)、『モンゴル帝国』(講談社現代新書)、『中国を見破る』(PHP新書)など多数。
loading...
文化大革命で、中国政府は内モンゴルのモンゴル人34万6000人を逮捕し、2万7900人を殺害した。実際には30万人が犠牲になったという調査もある。このモンゴル人虐殺に、毛沢東の中国政府は、学生たちを中心とする紅衛兵を使った。この紅衛兵には老紅衛兵と造反派という二種類が存在した。老紅衛兵は高官の子弟で、習近平のようないまの中国の指導者たちであった。それに対する造反派は一般人の子弟で、中国政府に対する反抗精神を持っており、そして彼らがモンゴル人虐殺を率先して行った。彼らをジェノサイドに駆り立てたものは、いったいなんだったのか。中国政府はジェノサイドの真相を隠蔽するために、極少数のモンゴル人協力者の役割を誇大的に強調し、モンゴル人加害者もいた、とのキャンペーンを張った。実際に何が起きていたのか。ほとんど公開されていない『紅衛兵新聞』などの貴重な一次資料をもとに、内モンゴル出身の著者が、世界からまったく無視されてきた文化大革命の負の側面に光を当てる。
本書の目的と構成
文革研究の現状が示す世界の中国認識
1 学生造反派の民族観と思想(内モンゴル草原の造反派と保守派
造反派新聞が描く初期文化大革命
「フフホト市第三司令部」の誕生
煽動されたジェノサイド
内モンゴル人民革命党員の粛清 ほか)
2 労働者と知識人、農民の造反(立ち上がる労働者
知識人の『魯迅』と『新文化』
暴力の総結集
モンゴル語の中国的変容
加害行為が物語るジェノサイドの規模)
「夷を以て夷を制す」現代中国
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。