夏目漱石全集 6
市井の幸福のかげにひそむ精神の地獄を描き切った「門」。漱石の後期の転機となる問題作「彼岸過迄」の2篇を収録する。
【解説: 吉田精一 】
親友を裏切って結ばれた野中宗助・御米夫妻は、いま崖下の借家でひっそりとくらしている。幸福にひたりながらも罪の意識に苦しむ宗助は、ついに禅院の門をたたく…。市井の幸福のかげにひそむ精神の地獄を鋭い心理描写とともに描き切った『門』。許婚者千代子との愛情問題を軸に孤独な知識人須永の苦悩を描きつつ、作者のそれを映し出す『彼岸過迄』。それぞれ漱石の後期の転機となる問題作。
門
彼岸過迄
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