ちくま学芸文庫

詩の構造についての覚え書
─ぼくの《詩作品入門》
入沢康夫
著
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「何ものかを問題にするさいの鉄則は、その対象を具体的に描くことにある」。この鉄則から見たとき、「天皇」は近現代小説において、その近傍からいかに描写されてきたのか、あるいはこなかったのか。明治・大正・昭和・平成の天皇・皇族の姿を、作中人物として描く小説の系譜(天皇小説)を通し、現実の政治的・社会的な諸力と、小説との間に引き起こされた葛藤、軋轢、抵抗、妥協、共謀などのさまざまな様相をたどる。「この国で小説を書く/読むとはいかなることか」という問いを要に、現代の文学風土になおも仄暗くわだかまるなにものかの正体を、可能な限り明瞭・直截な言説で提示し、渾身の力をもって刎出する。青山真治氏による力作解説を収録。
序文 明治一五年=昭和三五年
第1章 不敬罪と小説
第2章 大逆事件と小説
第3章 民本主義とプロレタリア文学
第4章 戦後天皇小説の群れ
第5章 現代文学のなかの天皇
終章 黙説法の政治学
付論 今日の天皇小説
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