算法少女
「どうして算数を勉強するの?」「だって、おもしろいから!」
父から和算を学ぶ町娘あきは、算額に誤りを見つけ声を上げた。と、若侍が…。和算への誘いとして定評の少年少女向け歴史小説。箕田源二郎・絵
父・千葉桃三から算法の手ほどきを受けていた町娘あきは、ある日、観音さまに奉納された算額に誤りを見つけ声をあげた…。その出来事を聞き及んだ久留米藩主・有馬侯は、あきを姫君の算法指南役にしようとするが、騒動がもちあがる。上方算法に対抗心を燃やす関流の実力者・藤田貞資が、あきと同じ年頃の、関流を学ぶ娘と競わせることを画策。はたしてその結果は…。安永4(1775)年に刊行された和算書『算法少女』の成立をめぐる史実をていねいに拾いながら、豊かに色づけた少年少女むけ歴史小説の名作。江戸時代、いかに和算が庶民の間に広まっていたか、それを学ぶことがいかに歓びであったかを、いきいきと描き出す。
2013.1.13 goojuly
正月休みも終わりに近づき、久しぶりに文庫本一冊を読書。
遠藤寛子著『算法少女』(ちくま学芸文庫)。
平積みのコメントが評判の書店で二ヶ月ほど前に買ったのだが、正月休みの読書になった。
時代は江戸と思われる、少女が算木を持って考える姿の表紙絵とそのタイトルに惹かれ、手に取った。
和算を追究する町医者の父と娘の物語。
まえがきによると、『算法少女』とは安永四年(1775)、実際に父娘によって出版された和算の本の題名であるという。
主人公千葉あきは市井に生きる聡明で真っ直ぐな少女である。
流派に囚われることなく、名利を捨て、和算の知識を子どもたちに伝えることによって人々の日常生活に役立てようとする姿は、iPS細胞研究の功績をみとめられ、ノーベル医学賞を受賞した山中博士の姿にも重なる。
簡潔で平易な文体に惹き込まれ、読了。
読後の清涼感はここ数年味わったことがないものだった。
著者に感謝したい。
この本は1973年に出版されたが、残念なことに、その後絶版となり、多くの関係者の協力を得て、2006年復刊にこぎつけたという。
『算法少女』は、中高生から高齢者まで多くの人に奨めたいすぐれた一冊だ。
2012.6.19 あさあさ
少4の子供に読ませるのに、いいよ。と勧められ、自分が読んでみました。歴史的にも興味深く、派閥に関係なく、算法を探求していく少女に感動しました。
是非、教科書に載せて欲しいと思いました。
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「算法少女」この不思議の書をめぐって 遠藤寛子[全文を読む]