徒然草
人生の達人による
今日、明日を生きる道しるべ
後悔せずに生きるには、毎日をどう過ごせばよいか。人生の達人による不朽の名著。全二四四段の校訂原文と、文学として味読できる流麗な現代語訳。
後悔せずに生きるには、毎日をどう過ごせばよいか。「思索する読書人」兼好が自由な心で書き綴った珠玉の随筆。独創的な断章スタイルは精神の運動を活発にさせ、生きられる時間の短さに警鐘を打ち鳴らす記述と、柔軟でユーモアに富む記述とを自在に往還する。明晰な言語感覚と、全方位に開かれた視界。この世の全てを相対化し、虚無の陥穽から身を翻す兼好。そこから新しい『徒然草』の顔が見えてくる。振舞いと心遺いが文化の本質であり、いまを生きる喜びこそが虚無をも越える最良の手段なのだ。混迷する現代にあって、大人ゆえにいま味わえる人生の達人の文学を、流麗な訳文と新校訂原文で構成。
徒然なるままに
いでや、この世に
古の聖の御代の
万にいみじくとも
後の世の事、心に忘れず
不幸に、愁へに沈める人
我が身のやんごと
化野の露、消ゆる時無く
世の人の心惑はす事
女は、髪のめでたからん〔ほか〕
2010.4.16 さかな
偶然にも目に飛び込んできたのは第154段でした。歳を重ねるにつれ捻ったものを好む傾向が出てきた私自身の反省になりました。
日野資朝に関する3つのエピソード(152~154)は彼の強烈な個性を表しているとも言えますが、自立した眼をもった素直な心性の人であったことを示しているとも言えます。
「注」「訳」はもちろんですが、出色なのは「評」の部分です。この本のおかげで私のつれづれなる〈徒然草読み〉が一歩前進するであろうと感じています。
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