ドストエーフスキー覚書

森 有正

その作品世界の核心を
射抜いた比類なき「ガイド」

深い洞察によって導かれた、ドストエフスキーを読むための最高の手引き。主要作品を通して絶望と死、自由、愛、善を考察する。
【解説: 山城むつみ 】

ドストエーフスキー覚書
  • シリーズ:ちくま学芸文庫
  • 1,540円(税込)
  • Cコード:0198
  • 整理番号:モ-3-6
  • 刊行日: 2012/04/10
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:448
  • ISBN:978-4-480-09450-6
  • JANコード:9784480094506
森 有正
森 有正

モリ アリマサ

1911-76年。東京大学文学部仏文科卒業。東京大学助教授を経て、50年渡仏。のちパリに居を構え、26年間、ソルボンヌ、国立東洋語学校などで、日本語や日本の文学・思想を講じた。深い哲学的省察に満ちたその“思想エッセー”は、西洋思想を学ぶ者のみならず、自己に誠実であろうとする多くの読者に迎えられた。『遙かなノートル・ダム』『バビロンの流れのほとりにて』『旅の空の下で』等の代表作の多くは『森有正エッセー集成』全5巻(ちくま学芸文庫)に収録されている。

この本の内容

ドストエフスキーの文学は、いまなお私たちの魂を揺さぶってやまない。長大な作品の最初のページを開いた瞬間から我知らず引き込まれてゆくのはなぜか。「この本を出したのは、思想的な牽引力が私をドストエーフスキーに引き付けたからであった。思想的とは、人間の現実に直入して、その中核を把握する力強さについてのことである」。著者は『罪と罰』に罪悪感を、『悪霊』に絶望と死を、『カラマーゾフの兄弟』に自由と愛を、『白痴』に善を考察し、『死の家の記録』に「人間」を発見する。深い洞察に導かれた「読み」は、その作品世界を味わうための最良のガイドとなっている。

この本の目次

1 ドストエーフスキーの罪悪観―『罪と罰』の一考察
2 ドストエーフスキーにおける絶望と死―『悪霊』の一考察
3 スタヴローギンの精神像
4 コーリャ・クラソートキン―『カラマーゾフの兄弟』の中の一挿話
5 ドストエーフスキーにおける「自由」の一考察―『大審問官』の場合
6 『ロシアの僧侶』をめぐって―ドストエーフスキーにおける愛
7 ドストエーフスキーの『罪と罰』について
8 ドストエーフスキーにおける神と人
9 ドストエーフスキーにおける「善」について―『白痴』をめぐって
10 『人間』の発見―『死の家の記録』をめぐって

読者の感想

2012.6.10 nantarehen

 ドストエフスキーは、中学生・高校生の時に読んだきりですが、当時、作品世界に魅了されて引きずり込まれるようにして再読したものです。そして40年余りが過ぎ去って、ドストエフスキー作品は脳髄の奥底深く沈殿し、固形化した記憶として強固なイメージを保ち続けてきました。ところが、最近になってひょんな機会を得て『覚書』を手にすることになり読ませてもらいました。最初の2,3篇の評論を読むだけで大きな衝撃を受けました。著者はドストエフスキーが描こうとしていた作品世界を丹念に解析しており、ド氏の叙述の意図をド氏自身の思想の方法論まで分け入って示される著者の批評的視点の鋭さ・深さには圧倒されるとともに、若き日の安易な読解でイメージを固定化していた浅はかな私のドストエフスキー作品像が大きく揺るがされることになりました。本書を読んでいる最中からもうドストエフスキーを再読したくてたまらなくなり、現在、40年余りの歳月を挟んで改めて『罪と罰』を紐解いているところです。

2012.5.11 「書評」評論人

本書をどうしても読みたくなり、「筑摩叢書」を古書店にて手に入れたのが1年前になります。ここに「ちくま学芸文庫」として再々刊されることを大変うれしく思います。
1949年に発行された本書は、約20年後の1967年に貴社にて改版されました。そのあとがきに著者は『再版される意味があるものかどうか非常に危ぶむ者』と述べられています。しかし、真に価値のあるものとして貴社に評価され、さらに45年振りの再刊が実現したわけです。

 本書のすばらしさは私ごとき者がとやかく言えることではありません。双方とも著者自身による短文ですが、初版「あとがき」と「改版あとがき」を読むだけで、読者は本文の充実ぶりを感じることができるはずです。難解といわれるドストエフスキーの代表作、「罪と罰」、「悪霊」、「カラマーゾフの兄弟」などを見事に私たちに理解させてくれます。それら3作品を各々論じながら、かつ3作品の人間の捉え方を総合的に私たちに示してくれる、ドストエフスキー作品に関する最もすぐれた諸篇であります。
 著者はこれら諸篇を『「主観的な」表白』とされていますが、多くの人達を正しくドストエフスキー作品へ導く、(言葉としては正しい使い方ではないかもしれませんが)いわば『福音書』といえるものではないかと私は考えております。
 最後になりましたが、本書を再版された貴社に感謝申し上げます。さらに、現在入手困難である(私は図書館にて読ませていいただきました)小沼文彦氏のドストエフスキー全集の文庫化を熱望いたします。せめて、3作品の刊行をお願いします。

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