民藝の歴史
モノだけでなく社会制度や経済活動にも美しさを求めた柳宗悦の民藝運動。「本当の世界」を求める若者達のよりどころとなった思想を、いま振り返る。
現在「民藝」といえば美術・工芸の一ジャンルと考える人が多いのではないだろうか。しかしこの言葉を生み出した柳宗悦は、たんに物の美しさを論じようとしたのではない。その背後にある社会制度や経済のあり方をも美しからしめんとしたのだった。柳の活動はまず、志賀直哉や武者小路実篤らと創刊した雑誌「白樺」の読者に支持された。そしてしだいに、権力や資本に日々の暮らしが侵食される時代にあって“ほんとうの生き方”を求める多くの若者たちの拠りどころとなっていく。社会を美で変えようとした稀有な運動の歴史を、白樺派の同人たちの身近にあり、柳と歩みをともにした著者が記録する。
「民藝」誕生前夜
東西の架け橋 バーナード・リーチ
朝鮮半島との出会い
民族の美を見出す
「白樺」が紹介した美術
「白樺」読者と民藝
河井寛次郎と濱田庄司
木喰仏の発見
「民藝」の誕生
民藝のモデルルーム「三国荘」〔ほか〕
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