村上春樹の短編を英語で読む 1979〜2011 上
英訳された作品を糸口に村上春樹の短編世界を読み解き、その全体像を一望する画期的批評。村上の小説家としての「闘い」の様相をあざやかに描き出す。
英訳された作品を手がかりに村上春樹の短編世界を読み解き、その全体像を一望する画期的批評。短編小説からアプローチすることで、村上がそのデビュー時から、どのような課題にぶつかり、固有の困難を自らに課し、それらを克服してきたかが見えてくる―。上巻では、「言葉」か「物語」かの二者択一という問いに突き当たった「初期」、そして、本格長編『羊をめぐる冒険』以降、はっきりと「物語」に軸足を置くことになった「前期」の作品群をあつかう。英語での講義をもとに日本語で書かれた、平明にしてライブ感あふれる一冊。
序 「井戸」の消滅―『ねじまき鳥クロニクル』から『1Q84』へ
第1部 初期 物語と無謀な姿勢(最初の選択―「言葉」か「物語」か
「無謀な姿勢」はどこから来るか―「中国行きのスロウ・ボート」
観念と初心―「貧乏な叔母さんの話」
「耳をすませる」こと―「ニューヨーク炭鉱の悲劇」)
第2部 前期 喪失とマクシムの崩壊(卑小な「空白」―「午後の最後の芝生」
強奪と交換―「パン屋再襲撃」
「ないこと」があること、「ないこと」がないこと―「象の消滅」
マクシムの崩壊―「ファミリー・アフェア」)
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