新・ちくま文学の森 1 恋はきまぐれ ─恋はきまぐれ
わすれなぐさ ウィルヘルム・アレント/あいびき 堀辰雄/襖 志賀直哉/雪解 横光利一/隣の女 タゴール/鶴八鶴次郎 川口松太郎 他
- シリーズ:シリーズ・全集
- 1,922円(税込)
- Cコード:0393
- 整理番号:
- 刊行日:
1994/10/17
※発売日は地域・書店によって
前後する場合があります - 判型:四六判
- ページ数:416
- ISBN:4-480-10121-7
- JANコード:9784480101211
- 在庫 ×
わすれなぐさ(ウイルヘルム・アレント)
ダフニスとクロエー(ロンゴス)
あいびき(堀辰夫)
襖(志賀直哉)
雪解(横光利一)
お客さん(コールドウエル)
サン・ピエールの百合(デイラン・ラニアン)
アルルの女(ドーデ)
隣りの女(タゴール)
犬を連れた奥さん(チエーホフ)
紙玉(アンダスン)
鶴八鶴次郎(川口松太郎)
掌の恋(和田芳恵)
みだれ髪抄(与謝野晶子)
志賀寺上人の恋(三島由紀夫)
サロメ(ワイルド)
2009.8.28 義翁
(神様なんてホントに居るものなのかどうか知りませんが、仮に、恋の神さまが居るものだ、ということにして・・・)
恋の神さまは相当にきまぐれらしい。とは、なんとなく判っているつもりではいたけれど・・・いやはや、これほどまでとは・・・。
「きまぐれ」という言葉からイメージするのは「無邪気」とか「どこか憎めない」とか、そんなたわいもないような軽々しい印象を思い浮かべがちで、一見罪が無いようですが、実はかなりの罪つくり。恋の神さまに、ただただ操られるしかないワレワレ人間は、そのきまぐれに付き合わされ、翻弄され、もてあそばれて、もうヘトヘトのボロボロになりかねない。こんなに大変で理不尽で苦しいことは他には無いと思うくらい。それなのに、恋の真っ只中にいる者にとっては、この苦しみはどうも苦しみとは思えず、むしろ快楽にすら感じる事だってあるのだからフシギです。これもきっと恋の神さまのシワザのうちのひとつなのでしょう。
だとすると恋の神は相当侮れない、手強い神さまという事になる。・・・この本を読むとそんな恋の神さまの本性、つまり裏の顔を垣間見る事ができるのでした。
本書の構成はロンゴス作『ダフニスとクロエー』の健康的な恋の芽生えの物語に始まって、コールドウェルの『お客さん』、チェーホフの『犬を連れた奥さん』、川口松太郎『鶴八鶴次郎』と読み進めるにしたがって、恋の神さまのきまぐれ度はどんどんエスカレートしていき、振り子の振り幅がだんだん大きくなるかのごとく、行き着くとこまで行ってしまうと、もうそこには究極の恋の物語、ワイルド作『サロメ』のすンごい結末が待っている・・・。
なるほど恋の神さまはきまぐれなのだなぁ、と頷かせられました。
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