〈雅子さま〉はあなたと一緒に泣いている

香山 リカ

「65点の自分」を
認めてあげよう

「均等法第一世代」の40代女性の悩みは、皇太子妃雅子さまの苦しみと共通している。問題解決へのヒントとは? 文庫版長いあとがきを附す。

〈雅子さま〉はあなたと一緒に泣いている
  • シリーズ:ちくま文庫
  • 660円(税込)
  • Cコード:0111
  • 整理番号:か-22-6
  • 刊行日: 2009/05/11
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:208
  • ISBN:978-4-480-42606-2
  • JANコード:9784480426062
香山 リカ
香山 リカ

カヤマ リカ

1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。専門は精神病理学。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題から社会批評まで幅広い分野で活躍している。著書に、『<いい子>じゃなきゃいけないの?』(プリマ―新書)、『悲しむのは、悪いことじゃない』(筑摩書房)、『劣化する日本人』(ベスト新書)、『ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか』(朝日新書)、『堕ちられない私 精神科医のノートから』(文春新書)等多数。

この本の内容

いま45歳前後の女性たちは、いわゆる「男女雇用機会均等法」第一世代。男女の別なく仕事や昇進の機会が与えられ、その上結婚も出産もと突っ走ってきた。すべて手に入れたはずなのに、壁にぶち当たっているのはなぜ?そんな女性たちの悩みは、皇太子妃雅子さまの苦しみと共通しているのではないか、という視点から書かれた問題提起の一冊。雅子さまの環境や周りの状況を分析し、一般女性たちも含めて「泣かないための7つの心得」をアドバイスする。その後の状況を解説した、文庫版長いあとがきを附す。

この本の目次

序章 すべてはあの日から始まった―記者会見での突然の涙
第1章 仕事と恋愛―古くて新しい対立(結婚は結婚、キャリアはキャリア
「結婚より仕事」はまちがいか ほか)
第2章 結婚―取り組むべき三つの問題(夫問題―ほしいのは理解者か大黒柱か
実家問題―いつまで親は“味方”なのか ほか)
第3章 子ども―自由にならない存在(出産問題―産まないにしても産めないにしても
育児問題―育児にテストも資格もない)
終章 泣かないための七つの心得(二倍働き、優雅ではいられない
親の問題を引きずりすぎない ほか)

読者の感想

2009.8.14 あきもとのりこ

初めて感想を書きます。
この本を読んで、自分の年代を語る本に出会った、という思いがしました。

雅子さまと同い年の自分は、結婚の時期も、出産の時期も近いので、興味や関心を持つ存在であります。
 香山さんが冒頭で「出産で知性的、理性的な人が感情優位の人に変身するのだろうか?」と疑問を持たれておられましたが、それは、あることだと思います。
雅子さまと同列に自分を置くのはおこがましいのですが、
仕事に生きがいを感じて突っ走ってきて、やや遅めに結婚し、でも仕事は続けていることでその勢いを引きずって走っていれば、姑、小姑などの周囲とはなんとか戦うことはできます。
私はかつて姑に「うちの<雅子さま>は(出産は)まだなのよ」と近所に愚痴られた経験があります。
でも、仕事をしながら結婚生活を快適にしてきた、と思って無視してきました。
雅子さまに1年遅れて出産しました。
頭の中でのみ理解していた出産、赤ちゃん、というものに反して、気持ちは、なんともいえない感動に包まれてしまいました。
「この私が産後ブルーになるなんて」と驚いたりもしました。
人前で感情的になるのは恥ずかしい、と思っていたのに、子どもの事を思ったり口にすると、こみ上げてくるものを止められなくなるのです。
理性や理屈ではない感情が、子どもを持ったことで自分の中に沸き起こったのか、という感じです。
この年齢に限らないし、どんな女性にもあったりなかったりするとは思いますが、
私は、キャリアを積んできたからこそ、新たな自分(母という)に起こった変化なのではないか、と思いました。
 第2章は、すべてに於いて、うんうんと頷きながら読みました。
夫のこと、姑のことは、出産を機に愚痴の種となりました。
「私だけは、そんな巷のような愚かな愚痴を言うものか」と思っていましたが、やはりどこかで発散しないと行き詰っている自分とも直面しました。
この年になっても、実家の協力を得ています。自分たちがゆくゆくは親の面倒を見なければ、とも思いつつ、元気なのをいいことに、孫を頼んで仕事にいく日々です。
このように書かれている、ということは、世の中には、同じような人が多いんだな、と、なんとなくホッとしたりしました。
全体的に淡々と分析してくださる香山さんの目線が、かえって冷静に自分を振り返る視線となりました。
<雅子さま>を通して自分たちを見る。
また自分たちと<雅子さま>を重ねることで、少しでも彼女を理解できたら、と思ってやみません。

久しぶりに、何度も読み返したい本に出会いました。
思わず感想文を書きたくなってしまいました。

乱筆乱文で失礼いたしました。

どうもありがとうございました。

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