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内容紹介
同じ『芝浜』は一つとしてない。
志ん生、文楽、圓生ら昭和の名人から、志ん朝、談志、さらには小三治、談春、一之輔など現役トップの落語家まで、彼らはどう演目を分析し、アレンジを加え、ときに解体もしながら、演じてきたのか。
演目の進化から落語の〈本質〉に迫る、画期的落語評論。
「落語という芸能において、演者と寄り添わない抽象的な「演目論」はありえない。『芝浜』とはどんな噺か、と考えるとき、多様な演者の多様な演出に共通する部分を抽出した「あらすじ」を論じても意味がない。「誰某の『芝浜』はこうだが、誰某の『芝浜』はこうである」という相違点や共通点を踏まえての具体的な検証によってのみ、『芝浜』論は成り立つ。江戸の粋を描く三木助の『芝浜』と、夫婦愛を強烈なドラマとして演じる談志の『芝浜』と、滑稽噺のテイストで笑わせる白酒の『芝浜』を一緒くたにすることは不可能なのだ。一つの演目が一つの型に固定化されることは決してない。
噺は、生きている。だからこそ、落語は面白い。」
目次
第1章 芝浜(耳で聴く文学作品―三木助
ドラマティックな感情の注入―談志 ほか)
第2章 富久(愛すべき幇間―文楽
効果的な第三者目線―志ん生 ほか)
第3章 紺屋高尾と幾代餅(瓶のぞきの後日談―圓生
ロマンティックな恋―談志 ほか)
第4章 文七元結(テキストとしての速記―圓朝
演劇的リアリズムの誕生―圓生 ほか)
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