松岡和子
( まつおか・かずこ )1942年生まれ。翻訳家・演劇評論家。シェイクスピア全37作品を翻訳。個人訳としては史上3人目。この業績により、2021年、日本翻訳文化賞、菊池寛賞、毎日出版文化賞 朝日賞 小田島雄志・翻訳戯曲 賞を受賞。
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2021年、シェイクスピア全集、個人全訳を完結した著者が、1990年代、年間100本以上のシェイクスピア劇を観続け、その舞台に即してシェイクスピア作品にまつわるさまざまなエピソードをつづったエッセイ。代表的作品13作品を、「男と女の力学」「闇の中の輝き」「この世は仮装パーティ」「時間と夢」等のテーマに分類し、小気味よくつづっていく。シェイクスピア劇が数倍楽しくなる。文庫化にあたり全集最後の作品「終わりよければすべてよし」の1章と「ちくま文庫『シェイクスピア全集』はどのように始まったか」の書下ろしを加える。
「松岡和子さんの文章は、知る喜び、学ぶ喜び、発見する喜びに充ちあふれています。ぼくはこういう誠実さに出合うと、明日も稽古場へ行くぞ、と勇気をとりもどすのです。」(蜷川幸雄 1993年「朝日新聞」書評より)
第1幕 男と女の力学(『ロミオとジュリエット』―別れがこんなに甘く切ないなら
『夏の夜の夢』―何もかもが二重に見える ほか)
第2幕 闇こそ輝く(『リチャード三世』―歩きながら俺の影法師を眺めていられるよう
『ヴェニスの商人』―ああ、俺のキリスト教徒の金 ほか)
第3幕 この世は仮装パーティ(『間違いの喜劇』―この世界にとって俺はひとしずくの水
『お気に召すまま』―ひと目惚れでなければ恋にあらず ほか)
第4幕 時間がみた夢(『リア王』―忍耐だ。我々は泣きながらここへやってきた
『冬物語』―並居る皆様を驚かせて差し上げて ほか)
第5幕 視線の政治学(『ハムレット』―見られずに見て…
『終わりよければすべてよし』―失ったものを褒め称えれば、思い出は貴重になる)
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