北澤憲昭
( きたざわ・のりあき )1951年生まれ。美術評論家、美術史家。女子美術大学名誉教授。著書に、『眼の神殿』(ちくま学芸文庫)、『岸田劉生と大正アヴァンギャルド』(岩波書店)、『「日本画」の転位』『〈列島〉の絵画』『逆光の明治』(いずれも、ブリュッケ)、『アヴァンギャルド以後の工芸』(美学出版)、『美術のポリティクス』(ゆまに書房)、『反覆する岡本太郎』(水声社)など。
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日本洋画の創始者・高橋由一が明治14年に考案した油絵のための絵画館「螺旋展画閣」。構想はなぜ未完に終わらなければならなかったのか。無限の死と再生を象徴する形象をなぞるようにして、「美術」概念の受容にまつわる思考が結晶化してゆく。制度‐施設史を主柱として、さまざまな次元にわたる明治期の史料(内国勧業博覧会、フェノロサおよび内国絵画共進会……)がいっせいにざわめきたつ躍動感に充ちた歴史叙述。その射程は現代の美術が抱える問題にまで及ぶ。日本美術史を学ぶ者の間に認識の転回をもたらした決定的作品。初版は美術出版社(1989年)。第12回サントリー学芸賞受賞。
序章 状況から明治へ
第1章 「螺旋展画閣」構想(洋画史の舞台―高橋由一の画業=事業
快楽の園の螺旋建築―「螺旋展画閣」構想
水と火の江戸―建設地について ほか)
第2章 「美術」の起源(文明開化の装置―博物館の起源
美術への胎動―博覧会の創始
「美術」の起源―翻訳語「美術」の誕生 ほか)
第3章 「美術」の制度化(建築=制度への意志―明治一四年の由一(一)
天の絵画―明治一四年の由一(二)
“つくる”論理―『美術真説』のフェノロサ ほか)
終章 美術の終焉と再生―日本語「美術」の現実
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