甘さと権力 ─砂糖が語る近代史
砂糖は産業革命の原動力となり、その甘さは人々のアイデンティティや社会をも変えていった。モノから見る世界史の名著をついに文庫化。解説 川北稔
われわれが生きている社会や文化は、どのようにして形成されてきたのだろうか。その問いに砂糖を素材にして明確に答えたのが本書だ。世界中の人々にとってなくてはならないものとなった砂糖は、世界最初期の工場生産物として生産され、その収益が産業革命を引き起こす大きな要因となり、かつまた労働者の栄養源ともなって工業化を支えた。それと同時に人々の嗜好はこの甘さによって大きく変わり、社会も劇的に変わっていく。しかしその一方で砂糖生産国は、世界商品となった砂糖に隷従する道を運命づけられることになる。モノを通して世界史を語る先駆けとなった世界的名著を、ついに文庫化。
第1章 食物・社会性・砂糖(主食=中心と薬味=周辺
ヒトは甘党か?)
第2章 生産(砂糖はコーランに従う
新世界の先駆者スペイン ほか)
第3章 消費(砂糖の用途
特権階級の香料 ほか)
第4章 権力(消費の拡大と権力
砂糖をめぐる諸勢力 ほか)
第5章 食べることと生きること(現代社会の消費とアイデンティティ)
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