アメリカを作った思想 ─五〇〇年の歴史
「新世界」に投影された諸観念が合衆国を作り、社会に根づき、そして数多の運動を生んでゆく――。アメリカ思想の五〇〇年間を通観する新しい歴史。
発端において、アメリカは、ヨーロッパの探検者たちが「新世界」に投影した一群の諸観念であった。それらはいかにして合衆国を築き、どのような運動を生み出していったか―。本書は、アメリカ人たちが紡いできた思想的生の物語を、国や時間や文化の境界を越える横断の歴史として描く。思想史とは、時代の問題と向きあった人びとの行為選択から彼らの知的背景を読みとること、そして彼らが生きた経験へ近づくことである。ビューリタニズムからポストモダニズムまで、あるいはトマス・ジェファソンからリチャード・ローティまで、アメリカ史に作用した観念の力を概説する画期的思想史入門。
第1章 諸帝国の世界―コンタクト以前から一七四〇年まで
第2章 アメリカと環大西洋啓蒙―一七四一年から一八〇〇年まで
第3章 リパブリカンからロマンティックへ―一八〇〇年から一八五〇年まで
第4章 思想的権威をめぐる諸抗争―一八五〇年から一八九〇年まで
第5章 モダニズムの諸反乱―一八九〇年から一九二〇年まで
第6章 ルーツと根なし草―一九二〇年から一九四五年まで
第7章 アメリカ精神の開始―一九四五年から一九七〇年まで
第8章 普遍主義に抗して―一九六二年から一九九〇年代まで
エピローグ グローバリゼーションの時代のアメリカ再考、あるいは会話の継続
2021.11.07 こなみ
アメリカの歴史は多くの著者によって書かれていますが、この本は現代までをカバーするまとまった思想史として独自の位置を占めるものと思います。いくつもの大きなトピックの中で、ダーウィニズムがもたらした巨大な影響を論じる第4章、デューイを中心にプラグマティズムの成立を解き明かした第5章、あるいはベトナム戦争以降のポストモダン思想がヨーロッパの影響をうけつつ独自の展開をしたことを説く第8章など、特に勉強になりました。それ以外も秀逸。原典を渉猟して膨大な内容をここまでコンパクトにまとめた名著として、後世に残るものではないでしょうか。
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