映像のポエジア ─刻印された時間
うちに秘めた理想への郷愁−−。映画の可能性に応える詩的論理とは何か。映像の詩人がおよそ二十年に及ぶ思索を通し、芸術創造の意味を問いかける。
「それ独自の事実のフォルムと表示のなかに刻み込まれた時間―ここにこそ、私にとって芸術としての映画の第一の理念がある」。その理念が有機的統一をもって結晶する“イメージ”。『惑星ソラリス』『鏡』『サクリファイス』など、生み出された作品は、タルコフスキーの生きた世界の複雑で矛盾に満ちた感情を呼び起こす。俳優や脚本のあり方をはじめとする映画の方法は、現代において涸渇した人間存在の源泉を甦らさんとする意図とともに追求された。戦争と革命の時代である二十世紀に、精神的義務への自覚を持ち続けた映画作家の思考の軌跡。
序章
第1章 はじまり
第2章 芸術―理想への郷愁
第3章 刻印された時間
第4章 使命と宿命
第5章 映像について
第6章 作家は観客を探究する
第7章 芸術家の責任
第8章 『ノスタルジア』のあとで
第9章 『サクリファイス』
終章
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