新指導要領下では、1年生用の必履修科目として、「評論・実用文などの現代文教材」を扱う『現代の国語』と、「古典および小説などの文学的教材」を扱う『言語文化』の2科目が新設されるが、この科目設定には「小説教材に当てられる紙幅が大きく制限されてしまう」という問題がある。2単位で古典と現代の文学的文章の指導を行うことになるが、定番の古典教材を減らすことはできないため、どうしても小説教材を減らすことで対応せざるを得ないからである。現在、教科書編集部が検定提出中の筑摩書房版『言語文化』でも、現行版の「精選国語総合」と比して6本→3本（「国語総合」との比較で言えば7本→3本）へと小説の収録本数を大幅減せざるを得なかった。
　そこで、減ってしまった小説教材に不安を感じる学校向けに、文学的文章を補うための副読本を提供する。収録教材は筑摩書房の旧教科書に掲載の小説作品から、定番教材や現場で人気の高かったものを10本ピックアップ、随想教材も4本取り上げる。これで教科書と合わせて小説教材は13本、随想は7本となり、年間2単位の『言語文化』の授業で扱う目次としては十分な量とバラエティを確保できるだろう。