ロック入門講義 ─イギリス経験論の原点
近代社会・政治の根本概念を打ちたてつつ、主著『人間知性論』で人間の知的営為について形而上学的提言も行ったロック。その思想の真像に迫る。
「人間の知識の起源と確実性を探求し、あわせて信念や意見の根拠を探求することが私の目的である」。ジョン・ロックは、近代哲学の基盤というべき「認識論」において、最初のアプローチを試みた一人である。しかし、その仕事に対しては誤読が重ねられ、真意は充分に捉えられてこなかった。例えば、ロックは心の直接的対象を観念と設定したため世界へのアプローチを不可能にしてしまったという批判等だ。イギリス経験論の原点となったロックの思想の真意とはどのようなものだったのか?社会思想・政治哲学でも知られるロックの形而上学的真価に迫る。平明な筆致による、書下ろし学芸文庫オリジナル。
第1章 ロック略伝―一六三二年〜一七〇四年
第2章 観念はヴェールではない―仮説の論理の無理解に抗して
第3章 経験論―「白紙」からの出発
第4章 感覚と概念的把握―ロックを心像論者とする誤解に抗して
第5章 抽象観念説はナンセンス?―もう一つの流言
第6章 単純観念を求めて―可感的単純観念と可想的単純観念
第7章 観察の理論普荷性への視点―モリニュー問題
第8章 現代指示理論の二重のさきがけ―記述主義と反記述主義のはざまで
第9章 創造的変化の思想―ローティの批判にもかかわらず彼の先駆者として
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