部落史の先駆者・高橋貞樹 ─青春の光芒
被差別部落史研究の先駆的業績とされる「特殊部落一千年史」。著者である高橋貞樹は治安維持法下に激しく生きた。その青春像を様々な調査資料を基に描き出す。
部落史研究の先駆的成果として、いまも読み継がれる岩波文庫「被差別部落一千年史」。その著者・高橋貞樹のことはあまりにも知られていない。日本共産党史からは転向者の烙印を押され、片隅に追いやられている。若くして水平社運動、日本共産党創立に参加、やがてモスクワに密出国し、コミンテルンで活動。秘かに日本帰国後は共産党の再建に従事するが、特高警察によって検挙、治安維持法違反により懲役15年の刑を受ける。しかし、獄中で病気が悪化、30歳の生涯を閉じる。沖浦和光が後半生を費やし追い求めた高橋貞樹の生涯が、いま歴史に刻まれる。
序章 水軍の末裔
第1章 高橋貞樹との邂逅
第2章 水平社結成と第一次日本共産党
第3章 『特殊部落一千年史』の衝撃
第4章 上海・ウラジオストック・シベリア鉄道
第5章 モスクワ留学時代
第6章 一九二七年の「日本問題に関する決議」
第7章 地下より浮上した革命運動
第8章 転向の時代
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