小坂井敏晶
( こざかい・としあき )小坂井敏晶(こざかい・としあき):1956年愛知県生まれ。1994年フランス国立社会科学高等研究院修了。元・パリ第八大学心理学部准教授。著書に『増補 民族という虚構』『増補 責任という虚構』(ともに、ちくま学芸文庫)、『社会心理学講義』(筑摩選書)、『格差という虚構』(ちくま新書)、『異文化受容のパラドックス』(朝日選書)、『神の亡霊』(東京大学出版会)、『答えのない世界を生きる』『矛盾と創造』(ともに、祥伝社)など。
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人間に科された桎梏
ヒエラルキーが決して消えないのはなぜか――
近代の原罪を追及してきた著者の集大成
身分制、差別、メリトクラシー。そこには歴史的変遷を経ても変わらない秩序維持の構造がある。解く鍵は「主体」だ。身分制を正当化する原理、差別が生み出される原因、そして能力概念の意味。いずれも主体虚構が担う役割抜きには語れない。従来からのあらゆる反差別論や格差批判が根本的に誤っているのはなぜか。差別以上にメリトクラシーが深刻である理由とは――。社会の機能と構造を分析し、近代の原罪を追及してきた著者の集大成。
はじめに
序
反差別論の勘違いとメリトクラシーの詭弁/本書の構成
第一章 差別と同質性
世界の紛争と近親憎悪/解放のパラドクス/同質性が生む差別/劣等感の補償/解放の実情
第二章 名誉白人再考
黒人の白人志向/少数派の劣等感/支配への迎合/名誉白人を生む条件/西洋化と近代化のすりかえ
第三章 日本の西洋化
日本人の西洋崇拝/進歩史観と西洋化/脱亜入欧の日本人像/日本人が名誉白人になる理由
第四章 同化と抵抗の密約
集団闘争を生む条件/シオニズム台頭の背景/ドレフュス事件/消去法のパレスチナ/イスラエル誕生事情/西洋化としてのシオニズム/アイデンティティは空の箱/人種神話とイスラエル/アイデンティティの虚構性
第五章 偏見の役割
制御幻想/?から出た真/カテゴリーと差別/遍在する迷信/現代の呪術/精神分析と政治の正体/同一化の魔法/心理の社会性/科学と迷信/知識と信仰/悪は正常な社会現象
第六章 支配の位相幾何学
身分制・格差・差別/奴隷制と普遍主義の矛盾/平等と人種主義の結託/全体主義と近代/偶然が決める能力/能力は架空概念/主体というイデオロギー/復讐・贈与・赦しの媒介構造/人間関係排除の契約と市場/価値の生成メカニズム
第七章 近代最大の迷信
自由と決定論/自由と責任の逆転劇/心理学の敗北/原因と理由/自由と普遍のアポリア/禁止の無根拠
第八章 近代が喪ったもの
主体の関係論/分析哲学と存在論の違い/意志の不在と脳科学/無意識の意志/規範論の限界/規範論の罠/虚構性の隠蔽
終 章 神のメタモルフォーゼ
ベストセラーの内幕/適者生存の誤解/進化と偶然/偶然が生成する真理/ラマルクの亡霊/主体の密輸入と進歩史観/差別・能力・偶然
補 論 テレビ広告に登場する白人
白人の役割/西洋化と文化/日本人の美意識/異質性への抵抗
あとがき
出典